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「口に出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口に出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
無名作家の日記」より 著者:菊池寛
。俺はそれがかなり淋しかった。 「よかったら、どこかの雑誌へ」と、そんなことは、口に出す勇気さえなかった。俺は、手持無沙汰になって帰ろうとした。そして帰り際に、....
蘭学事始」より 著者:菊池寛
た形を取りかけていた。 玄白は、良沢が一座にいると、心に思い浮ぶ質問の半分も、口に出すことができなかった。良沢には、自分のきいていることが、もうとっくに分かっ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いわけでも無いので、白い蝶の一件を母や妹に打ち明けようと思いながら、なぜかそれを口に出すのを憚《はばか》るような心持になって、お北は結局黙っていた。 「この春は....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
いでになったのを、思い出したからでございます。私は思わずゾッとなって、このことは口に出すまいと決心いたしました。 ――さて、庭に面した書斎の窓の、親指ほどの太....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
な気持で言葉少なに美味に向った。 いったいが言葉少なの父娘だった。わけて感情を口に出すのを敬蔵は絶対に避けた。そういうことは嫌味として旧東京の老人はついにそれ....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
者であることを、ひそかに知って居たので、粛然として氏の言葉を聞いた。だが、それを口に出すのは気の毒なのでさあらぬ体に言った。「そんなに考え過ぎても奥様やお子さん....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
にからんでいるので、年の行かない久松は一層その医者を怨むようにもなり、自然それを口に出すようにもなったので、糸屋の主人は久松に同情もし、また意見もしました。 「....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うなものに包まれてしまった。「勿論ダンネベルグ夫人は他界の人ですし、伸子もそれを口に出す道理はありません。しかし、事件の最初の夜、伸子が花瓶を壊した際に、たしか....
小公女」より 著者:菊池寛
とを避けるためには、どんなすてばちな事でもしかねない彼女でした。が、そんなことを口に出すのは、模範学校の生徒らしくないと思いました。で、彼女はひどく当惑して、 ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
の秀才が勉強もそっちのけで、あんな妙な恰好をして、都中を一日中ほっつき廻ってさ、口に出すことと言ったら、なよたけと大納言のことばかりだ。……そうかと思うとまるで....
夜の構図」より 著者:織田作之助
ない。おれは毎日この女を追い出すことを考えるだろう。しかし、気の弱いおれはそれを口に出すことは出来ないだろう。そして、この女は一生おれの傍にいる。今日捨てられる....
」より 著者:カフカフランツ
のことを考えています。でも、だれもそれを話したりはしないでしょう。そうしたことを口に出すことを遠慮するんです。そして、それももっともなんですわ。このことをお話し....
断食芸人」より 著者:カフカフランツ
ころへ行かなければならない。食事は、ただ考えただけで胸がむかついてきたが、それを口に出すことは助けてくれているご婦人たちへの遠慮からやっとこらえた。そして、見た....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
ながら,また第十一度目の訂正を命ぜられることだと心配しながら、恐る恐る戸籍係の窓口に出すと、戸籍係りは代書の印判を見て、 「よろしい」 と宣告する。 届出人....
恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
いう人がいては油断は出来ないと思いましたが、どの人がスパイであるかわからず、また口に出すことでないのでそのままにしていると、ある日、突然、エム中尉という人からよ....