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口を切る
「口を切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口を切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るような声で、こう言うと、老婆は、杖をひきずりながら、二足三足あとへ帰って、まず
口を切る前に、上くちびるをべろりとなめて見せた。
「何か用でもおありか。」
「い....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
分の同情を動かしたからで、また一つには、世故《せこ》がこう云う場合に、こっちから
口を切る習慣を、いつかつけてしまったからである。あるいは、また、そのほかに、始め....
「運命論者」より 著者:国木田独歩
》しく問いました。 『少し訊《たず》ねたいことが有りますので、』と僅《わず》かに
口を切るや、父は早くも様子を見て取ったか 『何じゃ。』と厳《おごそ》かに膝《ひざ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
対しても、何か済まない気がするのだ。「八尾政」を出ると、はじめて野崎はおずおずと
口を切るのだった。 「赤井、金《ゲル》なんとかしようか?」 「うん、そうだな。し....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
う材料をたくさんお持ちあわせの方々ばかりを選んでお招き申したのですが、誰か一番に
口を切るかたがないと、やはり遠慮勝になってお話が進行しませんようですから。」 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
紙《かいし》で四方《あたり》を拭き廻す。 「あの、お武家様」 お松は一生懸命で
口を切る。 「何だ」 「何も存じませぬのでございますから、どうか、お赦《ゆる》し....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ある」 「火星人というのが、ひところ喧伝されましたなあ」 ベラン氏が、はじめて
口を切る。 「わしのいう他の者は、火星人の如き者かもしれない。しかしわれらの研究....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
ったわ。」 彼女はそれを独りで楽しむかのように、なかなか話さなかったが、いちど
口を切ると、例の通り、明けすけにぶちまけてしまった。 つまり、辰さんの話の若月....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
って、つらくもあり悲しくも思われた。わたしはしきりと話をしたかったけれど、やっと
口を切ると、親方はぷっつり手短に答えて、顔をふり向けもしなかった。うれしいことに....
「百物語」より 著者:岡本綺堂
ましたが、拙者は八十四番目のときに怪しいものを見ました。」 ひとりがこう言って
口を切ると、実は自分も見たという者が続々あらわれた。だんだん詮議すると、第七十五....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
。二人は眼と眼で睨み合った。どちらも動かない。 ルパンは恐ろしいほど落ちついて
口を切る。 「その婦人を放せ!」 「ならん!」 そのまま二人はまたしばらく睨み....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
ボーフィ・オニーシモヴナは、何か話しだそうとするたんびに、いつも大抵こんなふうに
口を切るのであった、―― 「ほらご覧、坊っちゃん、あすこを。……ほんとに、なんて....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
裏を華岡が了解して、成るべく沢山の気休めを云って呉れればよいと思った。だが華岡の
口を切る前に傍にいた寛三が割り込んでしまった。 「政や、この先生はね、大学で新ら....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
「今日は実に愉快でした。こんな愉快なことはありませんな……」 こう猿面冠者が
口を切ると大塩は「言いたいことを少しも言わさないで、私が演壇に立つとすぐ弁士中止....
「日本の民衆と「日本的なるもの」」より 著者:戸坂潤
文壇と一部の評論壇では、一口で云うと「日本的なるもの」の検討が風をなしている。私がこう
口を切ると、そら公式主義者が「日本的なるもの」にケチをつけようとするものだ、と推....