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「口を開く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口を開くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
する球《たま》があった。乗合いの連中はどうした訳か、皆影の中に坐ったまま、一人も口を開くものがない。お蓮はだんだんこの沈黙が、恐しいような気がし出した。その内に....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
「よっぽど苦しいようですがね、――御医者様はまだ見えませんかしら。」 賢造は口を開く前に、まずそうに刻《きざ》みの煙を吐いた。 「困ったな。――もう一度電話....
」より 著者:岡本かの子
の間に交される話題に洩れないものだが、湊は、八分は相手に話さして、二分だけ自分が口を開くのだけれども、その寡黙は相手を見下げているのでもなく、つまらないのを我慢....
蠅男」より 著者:海野十三
たる村松に訊いた。 「……」 村松は物を云うかわりに、首を左右に振って答えた。口を開く気力もないといった風であった。 「では村松さん。貴方はここに死んでいる人....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
つくれ」という間宮君の説、いずれもまじめで真剣。 「全員戦死だ」と最後に倉光君が口を開く。「時と所を異にして……」。一同感慨無量。 ◯夜半、盛んに起される。最後....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
曼珠沙華のような極光の倒影。吹雪、青の光をふきだす千仭の氷罅。――いたるところに口を開く氷の墓の遥かへと、そのエスキモーは生きながら呑まれてゆく。 と、いうよ....
少年探偵長」より 著者:海野十三
目にあわせて、さあ答えよといっても誰が答える気になるものか」 牛丸は、はじめて口を開くと、相手の非礼をせめた。 「お前から礼儀のお説教を聞くために呼んだのでは....
地獄の使者」より 著者:海野十三
警部の方へ目配せをした。それは訊問を警部の方へ譲るという合図だった。 帆村口を開く 大寺警部は立上ると、鶴彌が死んでいた皮椅子のところまで行ってその背を....
火星兵団」より 著者:海野十三
例のトマトに目をつけたような火星人の顔があらわれた。ペペ王だった。画面のペペ王が口を開くと、そこからペペ王の声が出て来るのであった。 千二は、かくべつおどろい....
大空魔艦」より 著者:海野十三
に怪しみ、考えるところがあって丁坊には黙っているように合図し、隊員をよんで、袋の口を開くと丁坊をそっと袋の外にひっぱりだした。 外はなにもかも凍りついている寒....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
見る目は寧ろ気の毒なほどであった。 一も二もない、したたかに詫びて、その革鞄の口を開くので、事は決着するに相違あるまい。 我も人も、しかあるべく信じた。 ....
旅客機事件」より 著者:大庭武年
為めに行ったのだろう」 「…………」三枝は暫く黙然としていたが、あきらめたように口を開くと「或いはそうかも知れません」と悄然と言って、「然し、その嘘は事件が紛糾....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
厄介です。またあの養母というのがね、唾を刎ねてその饒舌る事饒舌る事。追従笑いの大口を開くと歯茎が鼻の上まで開けて、鉄漿の兀げた乱杭歯の間から咽喉が見える。怯えた....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
達す。家屋は樹木を結び、その上に土を載せ、一見塚のごとき形をなす。頂上に煙出しの口を開く。屋内は床を張らず、木の枝を敷くのみ。中央に地炉ありて、自在鍵を用う。石....
酋長」より 著者:岡本かの子
た。少年は不思議な子で、父親の庭守も無口だったが、子の島吉は一層無口だった。だが口を開くと、ずばずば物を言った。朝子は、変化のない庭守を三四代も続けていると、一....