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「口付〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口付の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
た上へ乗せ合って、その時はこういう風、仏におなりの前だから、優しいばかりか、目許口付、品があって気高うてと、お縫が謂えば、ちらちらと、白菊の花、香の煙。 話が....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
しているところを捕えられた。 それから取調べが始まった。 半次の前には、例の口付煙草入れと、土間から拾い上げた吸殻四個とが並べられた。 彼のアリバイは、彼....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
だのである。 京都における悲田院の非人の数は年とともに段々増加して、当初の粟田口付近の一箇所のみに収容し難くなり、他に五箇所の収容所を設けて、いわゆる垣内をな....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
て高尚な高い鼻、トホンとした眼付きはしているが、よく見ると充分に知的である。だが口付きは笑殺的で、酸味をさえも帯ている。尋常な乞食とは思われない。 「こいつどう....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
『何故かも無いものだ! この盗人め!』 彼は悪々しそうに唾でも吐っ掛けるような口付きをして。 『この山師! 人殺!』 『まあ、落着きなさい。』 と、アンドレイ....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
言った、あの時のこと、その他折によって、種々に変って、此方の眼に映った眉毛、目元口付、むっちりとした白い掌先、くゝれの出来た手首などが明歴と浮き上って忘れられな....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
闘準備を整えて大同江口を発し、西北に向かいて進みぬ。あたかも運送船を護して鴨緑江口付近に見えしという敵の艦隊を尋ねいだして、雌雄を一戦に決せんとするなり。 吉....
失われた半身」より 著者:豊島与志雄
眼を惹いたのは、彼女の鮨皿のそばの土瓶だった。土瓶から茶碗についだのを飲む彼女の口付きでは、お茶とは違っていた。或る時、おれは彼女の前で、ウイスキーのポケット瓶....
叔父」より 著者:豊島与志雄
れにふさわしい眼付と顔立。彼女を見ると中野さんはいつも、赤い粗らな髯の下の大きな口付を他愛なく弛めて、独り嬉しそうににこにこしていた。 そして不思議なことには....
傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
のである。 そしてこの、短く刈りこみ、日焼けの額に老けた筋が通り、善良な眼付と口付……骨格は頑丈だが、栄養が不良らしい肉附の、若いトルストイヤンと、茫漠たる風....
白い朝」より 著者:豊島与志雄
ます。正夫は駒井さんが好きなんです。ちっとも瞬きをしないような眼と、弾力性のある口付と、顔を埋めたら息がつまりそうな胸とが、とても好きなんです。 今日は、その....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
舌らない、つまり、饒舌ることをあまり持たないし、上唇に比べて厚ぼったい下唇のその口付が、饒舌るのにふさわしくないのだ。そして無言のうちに、たいていはうっとりと微....
道化役」より 著者:豊島与志雄
まじめくさった聞き方をしたりした。そうして対座していると、次第に、彼女のとがった口付に愛嬌が出て来、乱視めいた眼付に色艶が出て来て、それと共に、太い頸筋が目立ち....
林檎」より 著者:豊島与志雄
葉も見付からなかった。然し彼は私を馬鹿にしているのでもなさそうだった。その眼付や口付や笑い方などは、何だか普通でなかったけれど、言葉の調子は落付いた真面目なもの....
狼疾記」より 著者:中島敦
しい。閨房中のことについて何か今の奥さんに遺憾な点があるのだといって、締りのない口付でそれを長々と述べ、「大変残念なことです」と叮寧《ていねい》な言葉で、第三者....