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「口前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二老人」より 著者:国木田独歩
ゃつ》はそう信じて言うわけじゃない。あれは当世流の理屈で、だれも言うたと、言わば口前《くちまえ》だ。徳の本心はやっぱりわしを引っぱり出して五円でも十円でもかせが....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
ん、留守かえ、そんなら話をしますが、あの富五郎という奴は、べちゃくちゃ世辞をいう口前《くちまえ》の好《い》い人だね、実は私《わし》はね、人には云わないが旦那の殺....
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
、私《わし》が其の事を忠告して家《うち》へ帰れば、おあさどのが又|毎《いつ》もの口前《くちまえ》で、それは斯《こ》う云う訳で彼《あ》れは斯う云う訳で文治郎が聞違....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が煙草を仕入れるために、関口屋へ毎日出入りをする。男娼あがりで、男振りも優しく、口前もいいので、お由はいつか大吉と出来合ってしまったんです。うわべは柔らかでも肚....
婦系図」より 著者:泉鏡花
さんが、どんな事があればッたって、男と対向いで五分間と居る人じゃないのよ。貴下は口前が巧くって、調子が可いから、だから坐り込んでいるんじゃありませんか。ほんとう....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
って見ると、とても執拗いンやそうです。浜勇のいう話によりますと、和武ちゅう人は、口前が上手で、ケチで下品で、とても華族ちゅう肩書の他には、とンと取柄がないちゅう....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
を砕いている所為かそれとも、唯私に対してそう言って見ただけなのか、腹から出たとも口前から出たとも分らないような調子で言うから、 「……智慧を借りるッたって、別に....
見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
うな鋭い音がきこえて、一台の小型の自動車が悪魔のような速力で疾走して来て、店の入口前にピタリとまった。とその瞬間、絹帽をかぶった一人の小男がもう店の売場の方に靴....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ろう。……でも奥様なら大丈夫かもしれない。あのお美しいお顔で笑って、あのお上手な口前で喋舌って、丸めておしまいなさるだろう) こう思うと京助は嬉しくなった。 ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
に、おつけなすってくださいまし」「いよいよもって呆れたな。口の軽い男だわい。その口前で女子をたらし、面白い目にも逢ったであろうな」「これはとんだ寃罪で、その方は....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
が発句を読み、字の上手な玉汗が短冊に筆をはしらせ、道中で役場や小学校を捜しあて、口前のうまい銀平が短冊を売って歩こう、という仕組ができたのだ。 ひる前に、高崎....
」より 著者:佐藤垢石
のに、一杯さすと彼はこのウイスキーの質を賞めながら盛んにのむ。 私らは、亭主の口前に釣り込まれて、また一杯また一杯とさしてやると、気がついたときには、四合瓶の....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
、あながち義理知らずばかりでもなかった。 ひと口にいうと馬琴は無調法者だった。口前の上手な事をいうのは出来なかったよりも持前の剛愎が許さなかった。人の感情を毀....
丸の内」より 著者:高浜虚子
ら一時間ばかりのひまを得て、丸ビルを出てそこらあたりを歩いて見た。先ず東京駅降車口前に行く。ここに朝のうちは沢山に列を作って客待をしている自動車――ちょっと見る....
贋物」より 著者:葛西善蔵
になって、故郷に帰ることになるだろうという予感はあったよ」とも思った。そして改札口前をぶらぶらしていたが、表の方からひょこひょこはいってくる先刻の小僧が眼に止っ....