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「口吟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口吟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
武蔵野」より 著者:国木田独歩
樹を雑《まじ》ゆ。小鳥|梢《こずえ》に囀《てん》ず。一路人影なし。独り歩み黙思|口吟《こうぎん》し、足にまかせて近郊をめぐる」 同二十二日――「夜|更《ふ》けぬ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ように魅惑的な旋律だった、そして思わず彼も、「赤い苺の実」の歌詞を口笛に合わせて口吟んだのであった。……しかし、やがて、その歌の中の恐ろしい暗示に富んだ歌詞に突....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
もあり、|またほんの作りものでもあるのだ」とシュニッツラーを即興的に焼直したのを口吟んでから、彼は一つ大きな伸びをして立ち上った。 「サア熊城君、終幕の緞帳を上....
小田原陣」より 著者:菊池寛
身にや」 と驚いて居る時、秀吉は既に此処に移転して、「啼たつよ北条山の郭公」と口吟んで、涼しい顔をして居た。 此れが有名な石垣山の一夜城であって、湯本行のバ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
細道じゃ。 天神様の細道じゃ、 細道じゃ。) と童謡を口吟んで通ったと云うだけで、早やその声が聞こえるようで、」 僧は魅入られたごと....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
さて、品川も大森も、海も畠も佳い月夜じゃ。ざんざと鳴るわの。蘆の葉のよい女郎、口吟む心持、一段のうちに、風はそよそよと吹く……老人、昼間息せいて、もっての外|....
」より 著者:池谷信三郎
やりと橋の袂の街灯に凭りかかって、靄の中に消えて行く女の後姿を見送っている。女が口吟んで行く「マズルカ」の曲に耳を傾けている。それからくるりと踵を返して、あの曲....
黒百合」より 著者:泉鏡花
藍関馬不前 と、韓湘が道術をもって牡丹花の中に金字で顕したという、一|聯の句を口吟む若山の声が聞えて止んだ。 お雪はほろりとしたが、打仰いで、淋しげに笑って....
光は影を」より 著者:岸田国士
、高円寺駅のすぐ手前の踏切を左に折れ、杉ノ木口の方へ、通りなれた道を、そらで詩を口吟むように、からだに調子をつけて、ぶらぶらと歩いて行つた。 以前のまゝの門構....
秘伝の名訳」より 著者:岸田国士
象を、再び瞼に浮べ、耳に聴き入りながら、あたかも時あつて、この劇中の小唄を人前で口吟むように、氏は悠々、嬉々として翻訳の筆を進めたにちがいない。 名訳以上の快著である。....
剣侠」より 著者:国枝史郎
が今度逢ってみれば、変わった性格となって居り、不思議な病気を持って居り、妙な歌を口吟むばかりか、要介などという人物が、保護する人間となっていたので、浮いた恋、稀....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
を懸けたのが調子低く、 佃々と急いで漕げば、 潮がそこりて艪が立たぬ。 と口吟んだ。 けれども実際この船は佃をさして漕ぐのではない。且つ潮がそこるどころ....
死神」より 著者:岡崎雪声
いったような事がある、もしこの場合に、謡曲の好きな人なら、それを唸るとか、詩吟を口吟むとか、清元をやるとか、何か気を紛らして、そんな満らぬ考を打消すと、結局夢中....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
日であった。牛島の梵雲庵に病んでいよいよ最後の息を引取ろうとするや、呵々大笑して口吟んで曰く、「今まではさまざまの事して見たが、死んで見るのはこれが初めて」と。....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
我を忘れて遊んで居るのがなかなか愉快なんでございましょう。私はその様を見て一首を口吟みました。 白雪をなげつゝ童ゆきあひて 雪|白妙にゆきつとけつゝ ....