口外[語句情報] »
口外
「口外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
のは、限りない夜である。夜に似た愛憎の深みである。太郎は、狂気のごとく、弟の名を
口外に投げると、身をのけざまに翻して、片手の手綱《たづな》を、ぐいと引いた。見る....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ら火に焼かれるよりはと思って、私が手にかけて殺して来ました。」――これだけの事を
口外したからと云って、何も私が監獄へ送られる次第でもございますまい。いや、むしろ....
「或る女」より 著者:有島武郎
聞くと、震え上がるほどいやな感じを受けた。小さい時分に女記者になろうなどと人にも
口外した覚えがあるくせに、探訪などに来る人たちの事を考えるといちばん賤《いや》し....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
のではないかという不安もあった。八橋の口ぶりによると、治六もさすがにそんなことは
口外しなかったらしく思われたので、次郎左衛門もまず安心したが、それにしても乗りか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。正直に何もかも話してくれたようであるが、用人とても主家の迷惑になるようなことは
口外しなかったに相違ない。したがって此の事件の奥には、どんな入り組んだ事情がわだ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
小半刻の後であった。 自分のかかり合いになるのを恐れて、お関は役人に対して何も
口外しなかったが、前後の模様からかんがえると、自分が七蔵の座敷に忍びこんだときに....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
くなります。私は夜を恐れています。 いや、私もこの年になるまでは、こんなことを
口外しませんでしたが、今はもう一切をお話し申してもよろしいのです。八十二歳の老人....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えぐられていることが発見された。 家内の者はみな調べられた。うっかりしたことを
口外して店の暖簾に疵を付けてはならないという遠慮から、誰も下手人を知らないと答え....
「故郷」より 著者:井上紅梅
けれど結局何かに弾かれたような工合になって、ただ頭の中をぐるぐる廻っているだけで
口外へ吐き出すことが出来ない。 彼はのそりと立っていた。顔の上には喜びと淋しさ....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
決めたのだということです。それについては深い秘密があるのでしょうが、伯母は決して
口外したことはありません。僕の母は薄々その事情を知っているのでしょうが、これも僕....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
元の婿に貰おうということになった。勿論それは七兵衛夫婦の内相談だけで、まだ誰にも
口外したわけではなかったが、お此のほうにはその下ごころがあるので、きょう尋ねて来....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
も知れぬ。小露とやらがその娘で、六次三郎とやらが許嫁の男であろう。だが、この事を
口外致すな」勝国手は考え込んでいた。 すると、捜索隊の一人が、山の古宮の境内の....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
と。 「半田屋九兵衛、宿屋稼業は致して居りますれど、他聞を憚る一儀ならば、決して
口外致しませぬ」 「好し。それでは申し聴かせるが……他に立聞き致す者は居るまいな....
「子供の霊」より 著者:岡崎雪声
議なものの談を、主人の老母に語ると、老母は驚いた様子をしたが、これは決して他人へ
口外をしてくれるなと、如何いう理由だったか、その時分には解らなかったが、堅く止め....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の口から言出して置きながら、人に看透かされたと思うと直ぐコロリと一転下して、一端
口外した自家意中の計画をさえも容易に放擲して少しも惜まなかったのはちょっと類の少....