口尻[語句情報] »
口尻
「口尻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口尻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「機関車」より 著者:佐左木俊郎
もんか。僕は、てめえ等のように、やたらと蒸気を入れねえだけのことさ。」 吉田は
口尻を歪《ゆが》めるようにして、軽く微笑《ほほえ》みながら、そんな風にいった。 ....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
佐平爺の顔を視詰めた。――嘘つき佐平、で有名な佐平爺は、嘘をつくときには、いつも
口尻を曲《ま》げるのが癖だった。併し、その
口尻の曲がりは、より話に真実性を持たせ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
たぶさ》に取り上げて、左眼はうつろにくぼみ、残りの、皮肉に笑っている細い右眼から
口尻へ、右の頬に溝のような深い一線の刀痕がめだつ。
たそがれ刻《どき》は物の怪....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
たが、あとが続かず、息をつまらせて、びっくりしたように、声をとぎらせてしまった。
口尻とそのまわりの筋肉がぴくぴく震えだした。おいアリョーシカ、聞いてるのか、それ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
だったのね。」大きな上眼で、天井を見上げたまんま、美和子の言葉を聴いていた新子の
口尻に、びくっと力が入った。瞳の色は、飽くまで冷たかったが、微かにせまった眉や、....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
マタという辻に立っていたのが猿田彦。身の丈七尺、鼻が七寸、目の玉が八咫鏡の如く、
口尻が輝くというのは何のことだか分らないが、赤ホオズキの如し、何が赤ホオズキだか....
「平塚明子(らいてう)」より 著者:長谷川時雨
れたら焦げただらされそうな感じがするでしょう、とある人のいった事を思いだす。厚い
口尻に深い窪《くぼ》みを刻みつけて、真っ白な象牙《ぞうげ》のような腕を袖口から出....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
なら、その頭だけで沢山なようなもんだが……」 髯面の男は、おかしさを抑えながら
口尻を歪めて言うのだった。 「ふむ。そう馬鹿にしてもらいますめえ。」 清次郎は....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
、ぴんと来るか。」 「いっこう来やせんね。」 「だらしがねえな。」薄笑いが藤吉の
口尻に浮ぶ。「首は宜え。が、胴体がどうした?」 「どこにどうしてござろうやら、さ....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
して見せた。 「そうか――。」 と、それでもいくぶん怪しんでいるらしく、藤吉の
口尻には薄笑いの皺が消えかかっていた。その機を外すまいとでもするように、藤吉の右....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
返《いちょうがえ》しの根も切れて雨に叩かれた黒髪が顔の半面を覆い、その二、三本を
口尻へ含んで遺恨《うらみ》と共に永久《とわ》に噛み締めた糸切歯――どちらかといえ....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
した。 島田に結《ゆ》って弱々しく両肩の撫《な》で下《さが》った小作りの姿と、
口尻《くちじり》のしまった円顔《まるがお》、十六、七の同じような年頃とが、長吉を....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
《かたえくぼ》を寄せて笑顔をつくったばかりで、何とも言わなかった。少し下唇の出た
口尻の右側に、おのずと深く穿《うが》たれる片えくぼは、いつもお雪の顔立を娘のよう....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
夫を惑わせたか、蕾のような赤い唇を見ると、夫の心を吸い寄せた憎い唇――と、思わず
口尻を捻り上げて泣かせたりしました」と云って、彼女は虚のような声で笑った。 博....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
った妻に酷似なのです。笑う時にちょっと口を曲げるところから理智的に輝いている眼、
口尻に小さい黒子のあるところまでほんとによく似ています。 私は妻の招霊をさにわ....