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口早
「口早〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口早の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
冷えぐらいの事と思い居り候ところ、――ですって。」
敏子はやや興奮したように、
口早に手紙を読み続けた。
「病院に入れ候時には、もはや手遅れと相成り、――ね、よ....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
んだ。第一、百万石の殿様が、真鍮の煙管を黙って持っている筈がねえ。」
宗俊は、
口早にこう云って、独り、斉広の方へやって行った。あっけにとられた了哲を、例の西王....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
めていたある表情が閃《ひらめ》いていた。洋一は兄の表情に愉快な当惑を感じながら、
口早に切れ切れな言葉を続けた。
「今日は一番苦しそうだけれど、――でも兄さんが帰....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
かんなんしんく》を!」
神聖な感動に充ち満ちた神父はそちらこちらを歩きながら、
口早に基督《キリスト》の生涯を話した。衆徳《しゅうとく》備り給う処女《おとめ》マ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
つけたいのとで、大人気《おとなげ》ないと思いながら、こう云う前置きをして置いて、
口早やに城山戦死説を弁じ出した。僕はそれを今、詳しくここへ書く必要はない。ただ、....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ひしゃげられてがらがら震えていた。
「そりゃ邪推じゃがなお主《ぬし》」
と笠井は
口早にそこに来合せた仔細《しさい》と、丁度いい機会だから折入って頼む事がある旨を....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、湯具《ゆのぐ》をそのままの足を、茶の間と店の敷居で留《と》めて、立ち身のなりで
口早《くちばや》なものの言いよう。 「何処《どこ》からおいで遊ばしたえ、何んの御....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を剥きかけていた処、小刀を目八分に取って、皮をひょいと雷干に、菓物を差上げて何か
口早に云うと、青年が振返って、身を捻じざまに、直ぐ近かった、小児の乗っかった椅子....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
つかつかと書斎を出でぬ。叔母は引添うごとくにして、その左側に従いつつ、歩みながら
口早に、 「可いかい、先刻謂ったことは違えやしまいね。」 「何ですか。お通さんに....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
でございます。」と思切った風でいったのである。 「何、お米を、あれが、」と判事は
口早にいって、膝を立てた。 「いいえ、あの、これと定ったこともございません、ござ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ておくれだけれど……何だか、おかしいなあ。」 「何が、え? 何がおかしいの。」と
口早にいう、血の色薄く瞼を染めぬ。 「何も気をまわすことはないよ、真面目じゃあ困....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
尋ね着きて伯父の手紙を渡せば、その人は受取りて表書の名を見るより涙を溢して悦び、
口早に女房にも告げ神仏の来臨の如く尊敬して座敷へ通し、何はさて置き伯父の安否を問....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
っても可いのですから。 その証拠には、水騒ぎの最中へ、某雑誌記者、気忙しそうで
口早な痩せた男の訪問があり、玄関で押問答の上、二階へ連れて上ったのは……挿画何枚....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
をと思って菊ちゃんを一人ぼっちにして、角の喜の字へ行くとね、帰りがけにお前、」と
口早に話しながら、お縫は上框の敷居の処でちょっと屈み、件の履物を揃えて、 「何な....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
随所に親類も知己も多い。多津吉の同伴はこの岨路を、みはらしの広場下りに駆出した。
口早に、あらかじめ契った晩飯の場所と、火事は我が家、我が家には直面しない事と、久....