口移し[語句情報] »
口移し
「口移し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口移しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を掴んで、 「咽喉が苦しい、ああ、呼吸が出来ない。素人らしいが、(と莞爾して、)
口移しに薬を飲まして……」 酒井は猶予らわず、水薬を口に含んだのである。 が....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
を懐しがって、迷って恋におなりなすった。 その唄は稚い時、この方の母さんから、
口移しに教わって、私は今も、覚えている。 こうまで、お憧れなさるもの、ちょっと....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
、母のない児だ。――優しい人の言う事は、よくよく身に染みて覚えたと見えて、まるで
口移しに諳誦をするようにここで私に告げたんだ。が、一々、ぞくぞく膚に粟が立った。....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
「弱虫だね。」 大通へ抜ける暗がりで、甘く、且つ香しく、皓歯でこなしたのを、
口移し…… 九 宗吉が夜学から、徒士町のとある裏の、空瓶屋と襤褸....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
|疋鼠がちょろちょろと駈出したが、代に娘が入って来ました。 薫の高い薬を噛んで
口移しに含められて、膝に抱かれたから、一生懸命に緊乎縋り着くと、背中へ廻った手が....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
したエクスタシーののち、恐らく笛吹川に渇を訴えたのでしょう。笛吹川はそのとき自ら
口移しに夫人にレモナーデ水を与えました。何もしらぬ夫人は、灼けつくような渇きを医....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
郎は、 「白痴だと思って――この子を――玩弄物にするにも程がある」 とおずおず
口移しに真似《まね》て言った。不断、お蘭のいうことはすべて賢い言葉だと思って、口....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
ぎり決着ありたけの執心をかきむしられ何の小春が、必ずと畳みかけてぬしからそもじへ
口移しの酒が媒妁それなりけりの寝乱れ髪を口さがないが習いの土地なれば小春はお染の....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
ますから、自分に噛砕いて、漸くに歯の間から薬を入れ、谷川の流れの水を掬って来て、
口移しにして飲ませると薬が通った様子、親切に山之助が摩って遣りますと、 繼「有難....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
りました。 宗「あゝ困ったものじゃ、何うか助けたいものじゃ」 と又薬を飲まし、
口移しに水を啣ませ、お竹を□□めて居りますから、驚いて、 竹「アレー、何を遊ばし....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
様がねえな、含《くゝ》んでゝ喋れば飲込むだ、喋らずに」
と漸《ようや》く三藏が
口移しにすると、水が通ったと見えて、
累「ウム」
という。
三「アヽ與助、....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
原書をお読み遊ばした方は御存じのことでございましょうが、これは或る洋学先生が私に
口移しに教えて下すったお話を日本の名前にしてお和かなお話にいたしました。そのおつ....
「織成」より 著者:田中貢太郎
た。柳は目をつむったように見せかけていた。しばらくして、 「織成、織成。」 と
口移しにいう声がした。すると一人の侍女が来て、柳の頬の近くに立った。それは翠の襪....
「澪標」より 著者:外村繁
に孵って直ぐ餌を啄《ついば》むことはできない。親鳩は一度噛み下した餌を吐き出し、
口移しに与える。やはり雌雄ともに餌を与える。雛が大きくなると、かなり大量の餌を与....
「好人物」より 著者:豊島与志雄
た。覚えていらっしゃい、殺してやるから……。私はコップを取りあげた。死のキッス、
口移しに飲ましてあげるわ……。わたしはコップに口をつけ、一息に飲み干して、高木さ....