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口端
「口端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と分かれた仲でござりますのでな、ことごとにかばいだてもいたしまして、悪いうわさの
口端《くちは》に広まらぬようにと、ずいぶん気をつかってでござりまするが、あれこそ....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
写真を机の引出へ御隠しなすって、一口牛乳を召上りました。白い手※《ハンケチ》で御
口端を拭《ふ》きながら、聞えよがしの高調子、 「さあ、今日は忙しいぞ」 六 丁....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
、けれど道九郎、それに就いて又一つ困難なは高輪田を処刑するには勢い再び秀子を人の
口端に掛かる様な位置に立たさねば成らぬ、最早今日では輪田夏子は牢死した者と偽り其....
「河明り」より 著者:岡本かの子
て、笹の葉を剥いてやらねばならなかった。 でも、娘は素直に鮨を手に受取ると、一
口端を噛んだが、またしばらく手首に涙の雫を垂し、深い息を吐いたのち、 「あたくし....
「家」より 著者:島崎藤村
りで、思わず伯母は自分の口を開いた。 「ああ、オイシかった」とお房は香煎の附いた
口端を舐め廻した。 「房ちゃんも菊ちゃんも頂いて了ったら、すこし裏の方へ行って遊....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
の方からは、「貞女両夫に見えず」なぞと睨み付けられているし、習慣の方からは世間の
口端という奴が「女にあれがあってはねえ」と冷たい眼で見詰められております。女性の....
「キチガイ地獄」より 著者:夢野久作
ったような事実が、同乗の記者によって詳細に報道された。そうしてそのまま猟奇の輩の
口端に上って、色々な臆説の種になっているばかりである……という事実を、先生は多分....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
びには来なかった。そして、そのうちに、恭一と俊三とは、すでに飯をすましたらしく、
口端を手でこすりながら彼の方に走って来た。 「ご飯どうして食べない。」 恭一は....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
られる。わたしは彼の講義を迂濶に聞いていたが、今あの時のことを考えてみると、彼の
口端には人間の脂がついていて、腹の中には人を食いたいと思う心がハチ切れるばかりだ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
の骨折りも苦労も無益にした揚句の果てに他の気持を悪うして、恩知らず人情なしと人の
口端にかかるのはあまりといえば情ない、女の差し出たことをいうとただ一口に云わるる....
「春心」より 著者:田中貢太郎
はやっと啓いた。戸は二重戸になっていて土戸の次には金網戸があった。 「だめだよ、
口端できいたふうな事を云ったって、からっきしだめじゃないか、しっかりおしよ」 「....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
腐えたる醜さに、今から、驚かれぬご要心でもしておかれぬとな」 世の危うさが人の
口端にのぼりだすと、たれもがみな、同じようなことをいうものではある。――高氏は薄....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
う内々な諭告のもとに。 が、このことがあってから、ふたりの恋は、あらわに、人の
口端にのぼって来た。「――烏丸どのが御自慢の家臣元成と、西華門院の雑仕の卯木は、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
武人の間では。 足利どのの若御料 という呼び声が、一種の人気のようによく人の
口端にのぼった。若御料とは、千寿王への敬称である。たんに可憐であるためか。それと....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
実は私達の考えからやったことで、二人の関係を続けて行こうとするには、何よりも人の
口端にのぼるということが一番困ることだったのです。ですから世間の噂をさけるために....