口籠[語句情報] »
口籠
「口籠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口籠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
打ち瞶《まも》りつつ、固唾《かたず》を嚥《の》みてその語るを待てり。白糸は始めに
口籠《くちご》もりたりしが、直ちに心を定めたる気色《けしき》にて、 「処女《きむ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
に悄れて見えた。 「世渡りのためとは申しながら……前へ御祝儀を頂いたり、」 と
口籠って、 「お恥かしゅう存じます。」と何と思ったか、ほろりとした。その美しさは....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
う此処に無いことはよく知っているじゃありませんか。それとも……」 といって女は
口籠ったが、 「それともこの妾が、隠しているようにでも思っているの。あんたは知ら....
「階段」より 著者:海野十三
ったです。貴女の言われるのは四宮さんじゃないのですか?」 「エエ、それは」女史は
口籠りながら「やはり申上げられませんわ」と答えた。僕は佐和山女史も何か一生懸命に....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
顔へ。 「さあ……空缶は見ませんでしたけれど……」 否定はしたが、三津子はあと
口籠った。 「見ませんけれど――けれど、どうしたんですか」 三津子は写真の中を....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
烏 はい?(聞返す。) 紳士 俺に云う事は、それだけか、女郎。 初の烏 あの、(
口籠る)今夜はどういたしました事でございますか、私の形……あの、影法師が、この、....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
よ。――姉さんの名は?……」 「…………」 「姉さんの名は?……」 女は幾度も
口籠りながら、手拭の端を俯目に加えて、 「浪路。……」 と言った。 ――と言....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 やがて座敷で介抱して、ようよう正気づくと、仁右衛門は四辺を※し、あまたたび
口籠りながら、相済みましねえ、お客様、御出家、宰八|此方にはなおの事、四十年来の....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
いか、私はちっとも恐れやしないよ。」 「ねえ……ほほほ。……」 笑ってちょっと
口籠って、 「ですがね、こうなると、自分ながら気が変って、お前さんの前だと花嫁も....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
着けたらんごとき、沈める、力ある音調もて、 「汝、よく娶たな。」 お通は少しも
口籠らで、 「どうも仕方がございません。」 尉官はしばらく黙しけるが、ややその....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
伯母さんが可愛がるよ。」 「貢さんも可愛がっておくれかい。」 われは肩掛の中に
口籠りぬ。袖|面を蔽いたれば、掻分けて顔をば出しつ。冷たき夜なりき。 小親の下....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
十一 (鳥なの、母様。)とそういってその時私が聴いた。 これにも母様は少し
口籠っておいでであったが、 (鳥じゃあないよ、翼の生えた美しい姉さんだよ。) ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
か。何の用だえ」と尼は呆れ返っていた。 「革命だぞ。てめえ知っているか」と阿Qは
口籠った。 「革命、革命とお言いだが、革命は一遍済んだよ。……お前達は何だってそ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
人 昨晩、同じ宿へ着きますと、直ぐ、宿の人に――私は島津先生の――あの私は……(
口籠る。小間)お写真や、展覧会で、蔭ながらよく貴方を存じております。――「私は島....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
義理じゃねえんで、お門口へだって寄りつく法じゃありませんがね、ちとその、」 と
口籠った。妾沙汰の一条で、いいかねたものであろう。 お夏はいささかも気に留めず....