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「口腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
あるいは悪戯ではなかったかも知れない。なかったとすれば実験である。人間はどこまで口腹《こうふく》のために、自己の尊厳を犠牲《ぎせい》にするか?――と云うことに関....
文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
《け》はいもない様子を見届けて、麺麭《パン》と葡萄酒《ぶどうしゅ》を盗み出して、口腹の慾を充分|充《み》たした上、村外《むらはず》れへ出ると、眠くなって、うとう....
私の個人主義」より 著者:夏目漱石
腹になったが、あいにく弁当の用意もなし、家来とも離《はな》れ離《ばな》れになって口腹を充《み》たす糧《かて》を受ける事ができず、仕方なしに二人はそこにある汚《き....
明暗」より 著者:夏目漱石
に、糞《くそ》と味噌《みそ》をいっしょにして自慢すると、君は相手にしない。たかが口腹《こうふく》の問題だという顔をして高を括《くく》っている。しかし内容は一つも....
」より 著者:徳田秋声
生は元気らしく言って、生きがいのない病躯を嘲っていたが、先生の唯一の幸福であった口腹の欲も、そのころから、少しずつ裏切られて来た。 定められた病室へ入って、大....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
をわきまえない、清と濃との分も、葷《くん》と素《そ》との別も頓着しない――およそ口腹を満たし得るものは、皆ひっかき廻して口に送る。料理王国の権威は地に委して、す....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
えて、甚《はなは》だ体裁が悪いのですが、本来、大通寺の台所門というのは、さように口腹のための出納所《すいとうじょ》という意味ではなく、これぞまだ昔の豊臣太閤が、....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
れ、時とすると、自分の新聞社から受ける月給の高さえ忘れて居るという風です。近頃、口腹が寡欲になった為、以前の様に濫費しません。 氏は、取り済した花蝶などより、....
」より 著者:田中貢太郎
た時の顔であった。それを聞いて飯盛女にと進んで往った女の身の代金は、ちょっとした口腹の慾のために無くしてしまった。何と云ってももう金は帰って来ない。 久兵衛は....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
信念に向かって進み出すときには、僕は君たちの味方になるだろう。そうでなくて、ただ口腹の間だけでは、僕になんのなすべきことがあるものか。僕は芸術家だ。芸術を擁護す....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
あくる日、顎十郎は書状をもってお役御免をねがい出た。書状には……性来下司にして、口腹の欲に迷い、ウマウマ嵌められました段、まことに面目次第もこれなく、……と書い....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
破りの張り番をしたという眼もあてられぬ経緯《いきさつ》。 ……性来下司にして、口腹の欲に迷い、ウマウマ嵌められました段、まことに面目次第もこれなく、……という....
教育の目的」より 著者:福沢諭吉
未開、耕して食らい井を掘りて飲むが如き、これなり。すでに食らいすでに飲むときは、口腹の慾、もって満足すべしといえども、なお足らざるものあり。衣服なかるべからず、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ファウスト そんな事では己は満足しない。 人口が繁殖して、自分の流義で、 気楽に口腹を養って、場合によっては 教育を受け、学問をするのを見て喜んで いるうちに、....
牛捨場馬捨場」より 著者:喜田貞吉
かしながらまた一方においては、牛馬の皮革の需要はかなり多かった。その肉もまた無論口腹の慾を充たすに足るものである。捨てられた老牛馬や斃牛馬の皮革を利用することな....