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口舌
「口舌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口舌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
、私の鈍《のろ》いのも時には一得《いっとく》になったのでしょう。
「君、僕を単に
口舌《こうぜつ》の人と軽蔑《けいべつ》してくれるな」と云った兄さんは、急に私の前....
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
の味を利用して酒の性質を知ろうというのが番頭の仕事で、酒の味を旨《うま》がって、
口舌の満足を得るというのが晩酌の状態であります。双方とも同じ経験に違いない。ただ....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
は軍人政治の類を許容するものにはあらず。 帝政論派は藩閥内閣を弁護して「政権は
口舌をもって争うべからず、実功をもって争うべし、死力を出して幕府を仆したる者がそ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
っても中心に絶えずその理解を説いている浪人姿のさむらいを置いて、おのおのの主張を
口舌で取交しはじめていることも、ハッキリわかりました。 つまり、要領はこうなん....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ればいいんだからね」
イワンは不意に思いもかけないある特別の情をこめて、この長
口舌を終わった。
「どうして兄さんは『このうえもなくばかげた風に』なんか始めたん....
「春盲」より 著者:豊島与志雄
と一緒に飲むのが楽しいというのが、彼女自身の言い草である。そして、酔えばなにかと
口舌が始まる。それも大した
口舌ではない。つまり、下らないことをあれこれ並べ立てて....
「南島譚」より 著者:中島敦
を試みることは許されぬ。人々は楽しい興奮を以て見物するだけだ。此《こ》の戦は単に
口舌にとどまらず、腕力を以て最後の勝敗を決する。但し、武器刃物類を用いないのが原....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
れたからであろう。二人はすぐに駒を並べだした。序盤戦はいずれも慎重をきわめ互に、
口舌を以て牽制これ努めるという風であつた。 「なんだ、その手は、どうもスパイの臭....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
物と聞えしよりさては小春も尾のある狐欺されたかと疑ぐるについぞこれまで覚えのない
口舌法を実施し今あらためてお夏が好いたらしく土地を離れて恋風の福よしからお名ざし....
「今昔茶話」より 著者:国枝史郎
った。 六国を亡ぼしたのは、秦では無くて、成上がり者の、法螺吹きの、便乗家の、
口舌の雄ばかりで真理の把持者で無い蘇秦と張儀という縦横家だったのである。 H・....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
を彩どったであろうように、静寂な感覚の上に顕現してまいります。この微妙な感覚は、
口舌で説きえるほど浅いものではありません。 ○ 面は喜怒哀楽を越えた....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
と聞けば、かの怪声は、おそらくこの腹話術の一種ならんと考えらるるなり。その術は、
口舌を動かさずに言語を発する術にして、そのはじめギリシアに起こり、当時は魔声なり....
「妖怪学」より 著者:井上円了
生まるる人は、諸事美麗なることを好み、浅はかなる性にて災いを引き受くることあり。
口舌絶え間なき性にて、よくよくつつしみ、口論せぬようにすべし。 これ、九星によ....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
と二人を列べて、堅忍不抜精力人に絶すと同じ文句で並称した後に、但だ異なるは前者の
口舌の較や謇渋なるに反して後者は座談に長じ云々と、看方に由れば多少鴎外を貶して私....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
候へども最早相手にならない事に決し候、渠らは皆空論を以て事を成さんと欲する徒にて
口舌以上の活動をせんといふ意なし、こんな事で何が出来るものかと愛想をつかしたる次....