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「口許〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口許の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
しょう」 「まったくあなたは己惚れが強いわねえ」 といいきらないうちに奥さんは口許に袖口を持っていって漣《さざなみ》のように笑った……眼許にはすぎるほどの好意....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、色の浅黒い、鼻筋の通った、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許はお妙に肖て、嬰児も懐くべく無量の愛の含まるる。 一寸見には、かの令嬢にし....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
所在なさそうに半眼で、正面に臨風榜可小楼を仰ぎながら、程を忘れた巻莨、この時、口許へ火を吸って、慌てて灰へ抛って、弥次郎兵衛は一つ咽せた。 「ええ、いや、女中....
女客」より 著者:泉鏡花
かったは、月の影のさしたよう。 燈火に対して、瞳|清しゅう、鼻筋がすっと通り、口許の緊った、痩せぎすな、眉のきりりとした風采に、しどけない態度も目に立たず、繕....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
伏している間に、玉の曇を拭ったらしい。……眉は鮮麗に、目はぱっちりと張を持って、口許の凜とした……やや強いが、妙齢のふっくりとした、濃い生際に白粉の際立たぬ、色....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
った、その過般の時のように。 しかし、細目に開けた、大革鞄の、それも、わずかに口許ばかりで、彼が取出したのは一冊赤表紙の旅行案内。五十三次、木曾街道に縁のない....
縁結び」より 著者:泉鏡花
ないのを折返した。 「トそこに高髷に結った、瓜核顔で品のいい、何とも云えないほど口許の優い、目の清い、眉の美しい、十八九の振袖が、裾を曳いて、嫋娜と中腰に立って....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
っさと通り抜けておしまいなされましたか。」 「詰らないことを。」 客は引緊った口許に微笑した。 「しかし、土地にも因るだろうが、奥州の原か、飛騨の山で見た日に....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
いたが、えへん! と大きく、調子はずれに響いたので、襯衣の袖口の弛んだ手で、その口許を蔽いながら、 「おい、おい。」 寝た人には内証らしく、低調にして小児を呼....
黒百合」より 著者:泉鏡花
背後に結んだ、中背の、見るから蒲柳の姿に似ないで、眉も眦もきりりとした、その癖|口許の愛くるしいのが、パナマの帽子を無造作に頂いて、絹の手巾の雪のような白いのを....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
透通る。……男を知って二十四の、きじの雪が一層あくが抜けて色が白い。眉が意気で、口許に情が籠って、きりりとしながら、ちょっとお転婆に片褄の緋の紋縮緬の崩れた媚か....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
笑をした、船頭は年紀六十ばかり、痩せて目鼻に廉はあるが、一癖も、二癖も、額、眦、口許の皺に隠れてしおらしい、胡麻塩の兀頭、見るから仏になってるのは佃町のはずれに....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の隆い、目の鋭い、眉の迫った、額の狭い、色の浅黒い、さながら悪党の面だけれども、口許ばかりはその仇気なさ、乳首を含ましたら今でもすやすやと寐そうに見えて、これが....
式部小路」より 著者:泉鏡花
の傘より、当時はこれが化けそうである。 愛吉は、握太な柄を取って、べそを掻いた口許を上へ反らして、 「こりゃ、酷いや、」 「おや、お世話様でございますね。」 ....
活人形」より 著者:泉鏡花
ぬ。手に取り見れば、年の頃|二十歳ばかりなる美麗き婦人の半身像にて、その愛々しき口許は、写真ながら言葉を出ださんばかりなり。泰助は莞爾として打頷き、「犯罪の原因....