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口誦
「口誦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口誦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
しの身は竹斎に似たるかな 十一月も末だったので主人は東京を出がけに、こんな句を
口誦《くちずさ》んだ。それは何ですと私が訊くと 「東海道遍歴体小説の古いものの一....
「赤外線男」より 著者:海野十三
景は、正視するのが恐ろしく、思わず眼を閉じて、日頃|唱えたこともなかったお念仏を
口誦んだほどでした」 理学士は、そこで一座の顔を見廻わしたが、憐愍を求めるよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は、かえって検事の頭脳を混乱せしむるのみの事であった。しかし、彼が恐怖の色を泛べ
口誦んだところの、ウイチグス呪法典という一語のみは、さながら夢の中で見る白い花の....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
七里のわたし浪ゆたかにして、来往の渡船難なく桑名につきたる悦びのあまり…… と
口誦むように独言の、膝栗毛五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空は冴切って....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
のじゃ――我は化けたと思えども、人はいかに見るやらん。」 と半眼に、従容として
口誦して、 「あれ、あの意気が大事じゃよ。」 と、頭を垂れて、ハッと云って、俯....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
た俗謡には、二三行、 ………………… ………………… 脱落があるらしい、お米が
口誦を憚ったからである。) 「いやですわね、おじさん、蝶々や、蜻蛉は、あれは衣服....
「時代色」より 著者:岡本かの子
んだポーズである。此矛盾が不思議な調子で時代を彩色る。 純情な恋の小唄を好んで
口誦む青年子女に訊いてみると恋愛なんか可笑しくって出来ないと言う。家庭に退屈した....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
メなんですわ。ジーグフリードを殺そうとして、殺された……」 「ミーメ……」 と
口誦んで、法水はその一場の心理劇を、噛みしめるように玩味していたが、やがて、意味....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
はない。しだいに余の魂は、現実に戻るのを嫌うようになった。そして、ある詩の一句を
口誦みながら、ひたすら幻想の悦楽に浸っていたのである――それは、眼前の渚に遊ぶ一....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、その歌には余り価値を認めていない。鶴見は一読して感歎した。それから毎日のように
口誦んでは、そのあとで沈思しているのである。 鶴見にはこの歌につき別に思い出が....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
なり、其が又平安朝に入って、段々偶数句並列になって、後世に及んだ。私は民謡として
口誦せられた短歌形式は、終に二句並列の四行詩になったのだと思う。それで試みに、音....
「米」より 著者:犬田卯
じゃねえ。俺らもはア、すっぽりと諦めて明日は植えっちまアんだ。」さきにおばこ節を
口誦んでいた一人の青年も、それにつれて突っ立ち上り、両手を天井へ届くほど伸ばして....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
し。ただ国教宗の家にては、食前に誦すべき文句あり。これを晩食のとき、食卓に対して
口誦するを例とす。 宗派異なればその名目また異なり、ヤソ教の祭式に一杯のブドウ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
た。娘は死んだ、娘はしばらく病の床に伏していたが死期を知ると、しずかに慧鶴の名を
口誦み、頬に微笑のかげさえ浮べながら、そのまま他界の人となった。 身も心も弱い....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
とはありません。広く深く、私より気の毒な方へ。ただそれだけです。 私は合掌して
口誦みます。 妙音観世音 梵音海潮音 観音の有難さ、それは潮の音のごとく大きく....