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口車
「口車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
《しわが》れた声が起りました。
「やい、ここなうっそりどもめ。まだ乳臭いこの殿の
口車に乗せられ居って、抜いた白刃を持て扱うばかりか、おめおめ御意に従いましょうな....
「或る女」より 著者:有島武郎
係を絶《た》つ。悪く思わないでくれと確かにそういった、その義侠《ぎきょう》らしい
口車《くちぐるま》にまんまと乗せられて、今まで殊勝な女だとばかり思っていた自分の....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
にしない、山根の、松林のかげで日当りの悪い痩地を、うまげにすゝめてくると、また、
口車にのって、そんな土地まで、買ってしまった。その点、ぼれていても、おふくろの方....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
御屋敷へ御帰り遊ばしましたがいいではござりませぬか」 「真平じゃ。うっかりそちの
口車なぞに乗ったら、この兄の身体、骨と皮ばかりになろうわ。さぞかし手きびしく当て....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
。そして女房は、子供をだますのは可哀そうだからと言って、よく言い聞かして、尾行の
口車に乗らせないようにしようと主張した。しかし僕は利口になっているだけそれだけ安....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
やろな。」 「はい!」と聞返すようにする。 「丸官はんに、柿の核吹かけられたり、
口車に綱つけて廊下を引摺廻されたり、羅宇のポッキリ折れたまで、そないに打擲されや....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の所有者に、立派な神霊の感応するようなことは絶対にない。世人断じて山師的宗教家の
口車などに乗って、迷信家の仲間入りをしてはならない。 『悪霊の存在』の条下に、『....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
★ お源とお米が尾羽うちからして正二郎のところへ迷いこんできた。船頭の宮吉の
口車にのって、家も財産もそっくり彼の造船事業につぎこんで、結局かたりとられてしま....
「人生案内」より 著者:坂口安吾
言い寄る男も少くなかったが、今度はギンミしなければならぬと考えているから浮気男の
口車にはなかなかのらない。 矢沢という織物屋の旦那が浮気心からではなくて真剣に....
「光は影を」より 著者:岸田国士
であつたが、それというのも、例の会社から手を引いて以来、怪しげな金融ブローカーの
口車に乗り、多少の貯えも次ぎから次ぎへと吐き出してしまつた上、ついに、家屋敷を抵....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
の希望は別々でも、相助け合って両者の希望を実現すれば足るのである。幕府がソテロの
口車にのって動く見込みがないからソテロとしては田舎豪傑の政宗でやってみる以外に手....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
れから悪党と名告る悪党もあるまいと俊雄がどこか俤に残る温和振りへ目をつけてうかと
口車へ腰をかけたは解けやすい雪江という二十一二の肌白村様と聞かば遠慮もすべきに今....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ところからそういう間違った事に陥るのです。これもつまりうまくツァンニー・ケンボの
口車に乗ってごまかされてしまったのです。こういう事になるについて与って力あるのは....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
奥へ飛んで入ったが、籠の空になっているのを見て、 「惜しいことした。吉兵衛さんの
口車に乗せられて、とうとう太閤さんを逃がした。何やら言いよったな。恵比須さん、金....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
やあがるか、愕くかな、悲むかな。 そんな詰らぬ事を考えながら、うかうかと伯父の
口車にのって私が死んだと知らせてやったんです。そしてひそかに皆の驚く顔を想像して....