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口辺
「口辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生きている腸」より 著者:海野十三
ガラス管の中をじっと見つめている彼の眼はすごいものであった。が、しばらくして彼の
口辺に、微笑がうかんだ。 「――動きだした」 腸《はらわた》は、ふたたび、ぐる....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
が、あらわれた。この室内の光景を見ると、駭くかと思いの外、ニヤリと、薄ら笑いを、
口辺に浮べたのだった。 中佐は、ツカツカと司令官の傍に近づいた。 「申上げます....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
。 麻川氏は、それきり口をつぐんで仕舞った。眼が薄ぐもりの河の底のように光り、
口辺に皮肉な微笑が浮んだ。やがて氏は眼を斜視にして藤棚の一方を見詰めて居たが突然....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は年齢の割合に手強いぞ――と思った。
「それが、また厳粛な問題なんですわ」伸子は
口辺を歪めて、妙に思わせぶりな身振をしたが、額には膏汗を浮かせていて、そこから、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
と遠方を睨みながら、考え込んだ。 やがて彼は再び仔細に吸取紙を調べ出した。彼の
口辺には微笑が現われて来た。彼は何を思ったか一枚の封筒を取出して、吸取紙と並べて....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
と廻転しませんかね」 長老は、それを聞くと、かっと眼を剥いたが、次の瞬間には、
口辺に笑みを浮べ、 「とんでもない。人形が動いたり廻ったりしてはたいへんだ。傍へ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
だった。彼は至って顔まけのしない性質だったから……。 「いよオ――」 と相手は
口辺に更に多数の醜いしわの数を増しながら、ガクガクする首を前後に振り、素直に応じ....
「雷」より 著者:海野十三
っていったのであった。 四郎は外に出ると、暗闇の中でニヤリと薄気味の悪い笑いを
口辺に浮べた。 「……今に見て居れ。……沢山驚かせてやるぞ!」 彼は口の中でそ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
そんな生やさしいものではない」 そういってリット少将は、にやりと人のわるい笑を
口辺にうかべた。 「ええっ、するとこの飛行島は、なんです」 「ねえハバノフさん。....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
た。ミチミは寝棺のなかに入って、これから旅立つ華やかなお嫁入りを悦ぶものの如く、
口辺に薄笑さえ湛えているのであった。 杜は惚れ惚れと、棺桶の花嫁をいつまでも飽....
「まぼろし」より 著者:国木田独歩
思われた。 不平と猜忌と高慢とがその眼に怪しい光を与えて、我慢と失意とが、その
口辺に漂う冷笑の底に戦っていた。自分はかれが投げだしたように笑うのを見るたびに泣....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
である。おおよその人が老年になって、往事を無邪気に顧みて、ただそれなりに皺ばんだ
口辺に微笑を湛え得るならば、それでも人生の静かな怡楽が感ぜられもし、またその境地....
「暗号数字」より 著者:海野十三
それは全く困る。彼は腕ぐみをして次なる智恵をひねくった。 しばらくすると、彼の
口辺に急に微笑が現われた。彼は立ちあがってタオル蒸しと同居しているような恰好のマ....
「父の怪談」より 著者:岡本綺堂
の女を連想するのであるが、その死体の女は人並に眼も鼻も口も揃っていた。なんでも芝
口辺の鍛冶屋の女房であるとかいうことであった。 そば屋の出前持や、わたしの父や....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
あり、その寝に就くに、数|壜に熱湯を盛り脚冷を防ぎけるに、その夜、エトナ山の噴火
口辺りを徘徊したりと夢みし」と。そのエトナ山の観念を、足に熱を覚えたるによりて提....