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口重
「口重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
な、安心の作品を書いて居りませんし、また私には学問もないし、それに、謂《い》わば
口重く舌重い、無器用な田舎者《いなかもの》でありますから、濶達《かったつ》な表現....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
その本意無げな様子を見て、理学士は、ああ、気の毒だと思うと、この人物だけにいっそ
口重になって、言訳もしなければ慰めもせずに、希代にニヤリとして黙ってしまう。 ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
るじゃねいか」 省作はまただまってる。母もしばらく口をあかない。省作はようやく
口重く、 「おッ母さんがそれほど言うなら、とにかく明日は帰ってみようけれど、なん....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
て此上問うだけ無益なりと思いたり去れど目科は流石経験に富るだけ、且つは彼れ如何に
口重き証人にも其腹の中に在るだけを充分|吐尽させる秘術を知れば猶お失望の様子も無....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
一月十八日卒す。無涯と号す。 ◇二女マサ 嘉永五年子十一月六日生る。明治二年牟田
口重蔵に嫁す。同二十五年八月十日卒す。 (以上先夫人の所生) ◇三女千代 明治四....
「惜別」より 著者:太宰治
と怠惰の日々を送っている百万の同胞に向って、モオゼが、エジプト脱出の大理想を、『
口重く舌重き』ひどい訥弁で懸命に説いて廻ってかえって皆に迷惑がられ、それでも、叱....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
勝手がちがってくるので困るのさ。だから、今は、機械をうごかして、この艇内には、人
口重力が加えてあるのさ」 「人
口重力て、なんですか」 「人
口重力というのは、人間....
「転機」より 著者:伊藤野枝
交わすと、それはS青年の兄にあたる、この家の主人であった。素朴な落ちつきを持った
口重そうな男だ。主人は気の毒そうに私達の裸足を見ながら、S青年が昨日から留守であ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
り、その大男を勝手に取扱い、しかも大男の兄は、彼女のむら気や無精や沢山の欠点を、
口重々しく嘲《あざけ》りながらも、足に接吻《せっぷん》せんばかりに恭《うやうや》....
「見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
、白いものがチラチラと暮れ行く窓硝子に漂った。 「さてフランボー君」とアンガスは
口重にいった、「実は僕用件があって来たんだが。それは少し気味の悪るい事件なのでね....
「アインシュタイン」より 著者:寺田寅彦
を覚えるのが普通より遅く、そのために両親が心配したくらいで、大きくなってもやはり
口重であった。八、九歳頃の彼はむしろ控え目で、あまり人好きのしない、独りぼっちの....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
「これは?」
と、指で丸を作って、平へ、微笑した。
「何うも――」
平は、
口重にいって、腕を組んで、首を傾けて
「調所の心底がわからぬ。下らぬ大砲鋳造とか....
「江木欣々女史」より 著者:長谷川時雨
。 「これはどうも――平民は土下座《どげざ》しないと――」 と、平日《いつも》は
口重《くちおも》な、横浜生れではあるが、お母さんは山谷《さんや》の八百善《やおぜ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
酌は恐縮、重ねては、なお恐縮、よくない奴だ。」 巻莨と硝子盃を両手に、二口、三
口重ねると、圧えた芝居茶屋の酔を、ぱっと誘った。 「さあ、お酌を――是非一口、こ....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
うに見えます処が、業の至りませぬ、不束ゆえで。」 と、淳朴な仏師が、やや吶って
口重く、まじりと言う。 しかしこれは、工人の器量を試みようとして、棚の壇に飾っ....