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「口髭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口髭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
男の顔は生憎《あいにく》田舎者《いなかもの》らしい父親ではない。綺麗《きれい》に口髭《くちひげ》の手入れをした、都会人らしい紳士である。少年の顔に往来する失望や....
文章」より 著者:芥川竜之介
官。」 保吉は夢からさめたように、机の側に立った田中中尉を見上げた。田中中尉は口髭《くちひげ》の短い、まろまろと顋《あご》の二重になった、愛敬《あいきょう》の....
」より 著者:芥川竜之介
に止まっている。「何だい。」 男は幾分うるさそうに、丸々《まるまる》と肥った、口髭《くちひげ》の短い、活動家らしい頭を擡《もた》げた。 「この部屋ね、――この....
十円札」より 著者:芥川竜之介
でしょう。」 粟野さんはかすかに笑い声を洩《も》らした。やや鳶色《とびいろ》の口髭《くちひげ》のかげにやっと犬歯《けんし》の見えるくらい、遠慮深そうに笑ったの....
河童」より 著者:芥川竜之介
っと憂鬱《ゆううつ》になり、次の龕《がん》へ目をやりました。次の龕にある半身像は口髭《くちひげ》の太い独逸《ドイツ》人です。 「これはツァラトストラの詩人ニイチ....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
ように朧《おぼろ》げにしかわからない。ただ、すすり上げて泣いている間に、あの人の口髭《くちひげ》が私の耳にさわったと思うと、熱い息と一しょに低い声で、「渡《わた....
魔術」より 著者:芥川竜之介
、雨の降るのによく御出ででした。」 色のまっ黒な、眼の大きい、柔《やわらか》な口髭《くちひげ》のあるミスラ君は、テエブルの上にある石油ランプの心《しん》を撚《....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
け加えた。ちょうど見舞いに来合せていた、この若い呉服屋《ごふくや》の主人は、短い口髭《くちひげ》に縁《ふち》無しの眼鏡《めがね》と云う、むしろ弁護士か会社員にふ....
寒さ」より 著者:芥川竜之介
上げた。近眼鏡《きんがんきょう》をかけた宮本はズボンのポケットへ手を入れたまま、口髭《くちひげ》の薄い唇《くちびる》に人の好《い》い微笑を浮べていた。 「堀川君....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
中間者である。 * 道徳は常に古着である。 * 良心は我我の口髭《くちひげ》のように年齢と共に生ずるものではない。我我は良心を得る為にも若干....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
峯《こういっぽう》の画《え》に対しました。そうしてしばらくは黙然《もくねん》と、口髭《くちひげ》ばかり噛《か》んでいました。 「煙客先生《えんかくせんせい》は五....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
一人《ひとり》はまだ二十《はたち》前後であろう。もう一人はやや黄ばみかけた、長い口髭《くちひげ》をはやしている。 そのうちに二十前後の支那人は帳簿へペンを走ら....
」より 著者:芥川竜之介
る物などは、猶《なお》の事わかりませぬ。ただ、ふり離そうとする拍子に、手が向うの口髭《くちひげ》にさわりました。いやはや、とんだ時が、満願《まんがん》の夜に当っ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
も言われないのを感じた。轢死した彼は汽車の為に顔もすっかり肉塊になり、僅かに唯|口髭だけ残っていたとか云うことだった。この話は勿論話自身も薄気味悪いのに違いなか....
鴨猟」より 著者:芥川竜之介
と手を叩いて笑っていた。しかもまた、何だか頭巾に似た怪しげな狐色の帽子を被って、口髭に酒の滴を溜めて傍若無人に笑うのだから、それだけでも鴨は逃げてしまう。 こ....