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古井戸
「古井戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
古井戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
莟《つぼみ》のある樹。」
僕の母の実家の庭には背の低い木瓜《ぼけ》の樹が一株、
古井戸へ枝を垂らしていた。髪をお下げにした「初ちゃん」は恐らくは大きい目をしたま....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
る。燐燧は光を放ちつつ落ちて妙な音がして消えて了った。是で見ると下は水だ、何でも
古井戸の様な者で、白痴は余の身代りと為り其の中へ入って水死したのだ。
実に可哀....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ずにいたが、あれから四日目の朝、近所のお鎌という婆さんが墓まいりに行って、寺内の
古井戸の水を汲もうとする時、彼女は恐ろしいものを発見した。 お鎌は蒼くなって表....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
入り先から引き挙げられる筈でしたが、捕り手が向うと、すぐに覚ったと見えて、裏口の
古井戸へ飛び込んでしまいました。今度は替玉でなく、確かに本人の身投げでした。よく....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
いますよ。」 「ああ、それは道端の井戸なんです。」 と透しながら早瀬が答えた。
古井戸は地獄が開けた、大なる口のごとくに見えたのである。 早瀬より、忍び足する....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
内を見まわるのが役目で、師走の月の冴えた夜にいつもの通り見まわって歩くと、裏手の
古井戸のそばに二人の女の立っている姿をみつけた。夜目遠目ではあるが、今夜の月は明....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
この先の大崎のね、そら池田ヶ原って、今は大分家が建ったけれども、あの原の真ん中に
古井戸があってね、確六月か七月だったと思う。身投が上ったの。それがね、余程長く浸....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
からすこしはなれたところにカンナ島という石油が出る島がありますが、そのカンナ島の
古井戸から、この海底城(ダン艇長は海底城という言葉をつかった)へ、秘密の通路があ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
に奪われている彼女の秘密物品を取り返すのを手伝って呉れ、それはバラックの中にある
古井戸の中に、大きな石に結びつけて沈めてあるから、手伝って綱を引張って呉れ――と....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、汲かえし、掬びかえた、柄杓の柄を漏る雫が聞える。その暗くなった手水鉢の背後に、
古井戸が一つある。……番町で
古井戸と言うと、びしょ濡れで血だらけの婦が、皿を持っ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
隠れ去る。かの酒屋の庫と、観世物小屋の間まで、わが家より半町ばかり隔りし。真中に
古井戸一ツありて、雑草の生い茂りたる旧空地なりしに、その小屋出来たるは、もの心覚....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
の婦と情夫とが、共謀して良人を殺したのであった。 「岡目で見りゃァ直判りまさあ、
古井戸の中は暗くてね、死人の形がぼんやりと、やっと見えるくらいのものだったんで、....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
。そうしてその時ばかり狂気の如くなって、守刀で刺し殺されるのであった。その死屍は
古井戸の中に捨てられたのであった。 寛文十二年二月二十一日晩方、高田殿は逝去し....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
をしている、束ね髪で、窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色の清げに美しさは、
古井戸を且つ蔽いし卯の花の雪をも欺きぬ。……類なき艶色、前の日七尾の海の渡船にて....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ほッ。」 と言う……姿に似ない掛声で、雪代は、ギイ、ギイ、キクン、カッタンと、
古井戸に、白梅のちりかかる風情で、すんなりした、その肩も腰も靡かせる。 「ははあ....