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古傷
「古傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
古傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
き、第一に硝燈の光を見、次に室中を見、権田時介を見、最後に余の顔を見た、幸い手の
古傷は権田が既に包み直した後で有った為自ら見なんだ、見廻す中に今までの事を思い出....
「蠅男」より 著者:海野十三
裁判医の鑑定によると、まず二十年は経っているということだ」 「はあ、約二十年前の
古傷ですか。なるほど」と帆村は病人であることを忘れたように、ひきしまった語調で呟....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
い出す。……忘れ去られた笛の音が、ゆくりなく聞こえて来るように。……蝮に噛まれた
古傷が、うずき出したような思いもする。……憎くもあれば懐かしくもある。……で、誰....
「恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
であり、又恋人であった。時には、雨の日の前に古い肋膜炎の跡が痛み出すように、心の
古傷も疼き出すことがあったが、何事も過去のことゝ諦めて、研究に邁進し、やっと近頃....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ょっと蚊遣火の方に眼をそむけた横顔を、竜之助はちらと見て、むらむらと過ぎにし恋の
古傷に痛みを覚えるのでありましたが、すぐにいつもの通り蒼白《あおじろ》い色を行燈....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
」
「私も、最初から、それを気にしているのです、痛みはなさいませんか」
「それは
古傷ですから、痛むには痛みますけれども、いまさら泣いたり、愚痴を言ったりしても仕....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一種の不安と、今までとは違った不快な思いで、胸をカッとさせたものは、例の額のあの
古傷です。 こいつが――そもそもこの
古傷が、こうも自分を不愉快なものにしてしま....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
る人なの……」低い声で独り恥辱を弁解するように言った。其男を悪く言うのは、自分の
古傷に触られる心地がするので、成るたけ静として置きたいようである。 「ふむ。矢張....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
《いんうつ》な偉大な魂の人々だった。クリストフは彼らとめったに会わなかった。彼の
古傷は外面は癒着《ゆちゃく》していたけれど、きわめて深い傷でまだすっかり癒《い》....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
それからなお、生命を回復するにしたがって、心の古い痛みはまた現われてき、記憶の
古傷はまた口を開いてきた。彼は再び過去のことを思いやった。ポンメルシー大佐は再び....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
った」「このおれを盲目にする気か!」「へえ、どうもまたいけませんかな」「十年前の
古傷か、ないしは去年の新しい傷か、それくらいのけじめが解らぬと思うか」「へえ、そ....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
、お高を悲しくしていた。父の相良寛十郎と、母のおゆうと、この一空和尚とのあいだの
古傷のようなものを、和尚は、隠しているらしいのだ。お高は、一空さまとならんで歩き....
「勝負師」より 著者:織田作之助
断りなしに勝手な想像を加えて書いたというだけでも失礼であろう。しかも私はその人の
古傷にさわることを敢て憚らなかったのである。それどころか、その人の弱みにつけ込ん....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
から一貫五、六百匁ほどに育った大物は、絶品中の絶品である。昔から、啖えば三年前の
古傷が痛むといわれているほどであるから、その味品たるや知るべきである。殊に前橋地....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の内こそ御法度《ごはっと》を真向《まっこう》に、横に首を振り続けている清二郎も、
古傷まで知らせた上は返答によって生命をもらうという仙太郎の脅しと、なによりもたん....