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古巣
「古巣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
古巣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
鶯を江戸へ連れて行くのか」 「いや、籠《かご》から放してやればいい。鶯はおおかた
古巣へ舞い戻るであろう」 その謎は市之助にもよく判った。しかしそれは余り正直過....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
いない。では何処にいる……」 「あそこだよ」 水戸は下界を指した。それは彼らの
古巣であるオルタの町だった。町は、ここから見ると、フライパンの上にそっくり載《の....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
金して、大急ぎで二人でパリを逃げ出した。 Sはもとの田舎に帰った。僕はリヨンの
古巣に帰った。そして、あちこち歩き廻って来たことなぞは知らん顔をして警察本部へ行....
「獄中記」より 著者:大杉栄
志の小集りがあった。その帰りに、もう遅くなってとても亀戸までの電車はなし、和田の
古巣の涙橋の木賃宿にでも泊って見ようかということになって、僕の家に同居していた和....
「大脳手術」より 著者:海野十三
ていた。そこで私達はどっちからいい出すともなくそれをいい出してこの島を離れ、元の
古巣である都会へ引返した。 私は珠子と同棲するために新しい住居を見つけるつもり....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
だす道はいくらもある。まあ仕方がないということになった。 そのうちに、また元の
古巣へたちまわるにちがいないから、そのときに逮捕できるだろうと、警察では案外落ち....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いった通り戦火に脅かされて丸裸になり、ちょうど渡鳥が本能でするように、またもとの
古巣に舞い戻って来たのである。かれにはそうするつもりは全くなかったのであるが、ふ....
「神経」より 著者:織田作之助
屋」があった所のバラックの中から、参ちゃんがニコニコしながら呼んでいるのだ。元の
古巣へ帰って、元の本屋をしているのだった。バラックの軒には「波屋書房芝本参治」と....
「九月四日」より 著者:岡本綺堂
定するのか、東京市内の草原はいつ取除けられるのか。今のありさまではわたしも当分は
古巣へ戻ることを許されぬであろう。先月以来照りつづいた空は青々と晴れている。地に....
「活人形」より 著者:泉鏡花
心懸りなり、一度家に立返りて何卒お藤を救いいだし、またこそ忍び出でなんと、忌しき
古巣に帰るとき、多くの人に怪ませて、赤城家に目を附けさせなば、何かに便よかるべし....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
って、現世の生活は創造の素材ではなくて、これまであった芸術は心をいたわりにかえる
古巣として見直されたのである。 この時代に心をやるべき
古巣の最もよきものは和歌....
「つばめの話」より 著者:小川未明
ました。と、つばめがいうと、太郎は夢がさめました。その明くる日、一|羽のつばめが
古巣にきて、さびしそうにしていましたが、晩方、どこにか飛んでいってしまいました。....
「教師と子供」より 著者:小川未明
んなにりこうだかしれない。寒くなると、幾百|里と遠い南の国へゆき、また春になると
古巣を忘れずに帰ってくる。私がもしおまえであったら、こんなに先生にしかられること....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
らぬ。やっと手に入れたものがあっても近所のものが交際してくれぬから、遂にはもとの
古巣に戻って来る。かくて限りある土地に限りなく増殖する人口を容れるのであるから、....
「特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
い。よしやそれが求め得られたとしても、いつしか隣人の疎外に堪えかねて、遂にもとの
古巣に帰って来るのが普通である。かくて彼らは限られたる狭い範囲に、いわゆる貧乏子....