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「古布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古布の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二つの庭」より 著者:宮本百合子
に、もう使えなくなったシャツ類をまとめて、しばっている。そうして整理された古着、古布類は、佐々の田舎の昔なじみの農家であるおかめばあさまのところに送られた。おか....
播州平野」より 著者:宮本百合子
こにあったのか、いつ、何の役に立つのか、ひっそり歳月の流の底にしずんでいた一切の古布どもが、一片たりとも、びしゃびしゃに濡れて、臭くなってその存在を主張した。 ....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
かった十三ばかりの男の児がある。山間僻地のここらにしてもちと酷過ぎる鍵裂だらけの古布子の、しかもお坊さんご成人と云いたいように裾短で裄短で汚れ腐ったのを素肌に着....
丹下左膳」より 著者:林不忘
とってやる。 湯をつかわせて、小ざっぱりした着がえをすすめた、が泰軒はすまして古布子《ふるぬのこ》を手に通して、それよりさっそく酒を……というわがままぶり。 ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
うしんしょうめい》、ほんもののこけ猿の茶壺ではないか! 二 四つにむすんだ古布《ふるぎれ》のあいだから時代のついた木箱の肌を見せて、ズシリと畳にすわってい....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
成城への荷物なんかはじめは只ありふれた意味で分散させて置こうとしたのよ。原稿紙や古布類を。段々ときが経つうちに、気持がちがって来て、わたしが一緒に疎開して暮すと....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
て、ひとりは惘然《ぼうぜん》としひとりは息をはずましひとりはほんとに目をさまし、古布巾《ふるふきん》を引き裂いて綿撒糸《めんざんし》をこしらえていた。三人の暴徒....
戯作者」より 著者:国枝史郎
か?」 「珍しいことでごぜえません」 「寒くて耐らぬ。代わりの衣類は無いか」 「古布子ならござりますだ」 「古布子結構それを貸してくれ」 下男の持って来た布子....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
つで、顔色がどす黒く沈んで、手足が皹《ひび》だらけ。荒布《あらめ》のようになった古布子をきて、尻さがりに繩の帯をむすんでいる。どう見たって腹っからの乞食の子だが....
註文帳」より 著者:泉鏡花
たたき土間。隣のおでん屋の屋台が、軒下から三分が一ばかり此方の店前を掠めた蔭に、古布子で平胡坐、継はぎの膝かけを深うして、あわれ泰山崩るるといえども一髪動かざる....