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古手
「古手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
古手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放浪」より 著者:織田作之助
て、順平は声をあげて泣いた。遺書めいたものもなかったが、腹巻の中にいつぞや出した
古手紙が皺くちゃになってはいっていたため、順平に知らせがあり、せめて死に顔でもみ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
族よりも多く、貧乏人の多いごたごたした町であった。 しかし不思議に変化の少い、
古手拭のように無気力な町であった。角の果物屋は何代も果物屋をしていた。看板の字は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は二十五六の年増で、引窓の綱らしい古い麻縄で手足を厳重に縛《くく》られて、口には
古手拭を固く捻じ込まれていた。帯は解かれて、そのそばに引ん丸められ、肌もあらわに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
か。」 と片手に燐寸を持ったと思うと、片手が衝と伸びて猶予らわず夫人の膝から、
古手紙を、ト引取って、 「一度お話した上は、たとい貴女が御不承知でも、もうこんな....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
商人になる。碁打ちになる、俳諧師になる。梅川の浄瑠璃じゃあないが、あるいは順礼、
古手買、節季候にまで身をやつす工夫を子供の時から考えていた位です。そうして、かの....
「親子」より 著者:有島武郎
停車場には農場の監督と、五、六人の年嵩な小作人とが出迎えていた。彼らはいずれも、
古手拭と煙草道具と背負い繩とを腰にぶら下げていた。短い日が存分西に廻って、彼の周....
「蠅男」より 著者:海野十三
に代って、ひどく鼻をつくのが消毒剤のクレゾール石鹸液の芳香だった。 「ここ病院の
古手と違うか」 「あほぬかせ。ここの大将が、なんでも洋行を永くしていた医者や云う....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
、それでは御不自由、これを持って行って差上げな、とそう言いましてね。(言いつつ、
古手拭を解く)いま研いだのを持って来ました。よく切れます……お使いなさいまし、お....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
をしめますから、男だって。…… お雪さん――と言いました。その大切な乳をかくす
古手拭は、膚に合った綺麗好きで、腰のも一所に、ただ洗いただ洗いするんですから、油....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
告り威す。――命ばかりは欲いと思い、ここで我が鼻も薙刀で引そがりょう、恐ろしさ。
古手拭で、我が鼻を、頸窪へ結えたが、美しい女の冷い鼻をつるりと撮み、じょきりと庖....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
山は机にむかって暫く考えていたが、やがて俄かに笑い出した。 「畜生。今どきそんな
古手を食うものか。」 甚吉の家は物持ちである。その独り息子が人殺しの罪に問われ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
―大根、牛蒡、太人参、大蕪。棒鱈乾鮭堆く、片荷に酒樽を積みたる蘆毛の駒の、紫なる
古手綱を曳いて出づ)きゃッ、きゃッ、きゃッ、おきゃッ、きゃア――まさるめでとうの....
「山吹」より 著者:泉鏡花
に捻じ込みたる頭巾に包み、腰に下げ、改って蹲る)はッ、静御前様。(咽喉に巻いたる
古手拭を伸して、覆面す――さながら猿轡のごとくおのが口をば結う。この心は、美女に....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
うはなさそうな、べろんと剥けて、くちゃくちゃと目の赤い、髯をそのままの頬の皺で、
古手拭を被った、影法師のような、穴の媼さんとかいう店で、もう霜枯だから花野は幻に....
「放浪」より 著者:織田作之助
て、順平は声をあげて泣いた。遺書めいたものもなかったが、腹巻の中にいつぞや出した
古手紙が皺くちゃになってはいっていたゝめ、順平に知らせがあり、せめて死に顔でもみ....