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「古樹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古樹の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
。湖水を挟んで相対している二つの古刹は、東岡なるを済福寺とかいう。神々しい松杉の古樹、森高く立ちこめて、堂塔を掩うて尊い。 桑を摘んでか茶を摘んでか、笊を抱え....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
、幹太郎と妹を残して村を出た。路ばたの草叢では蟋蟀が鳴き始めていた。家の前の柿の古樹の垂れさがった枝には、渋柿が、青いまゝに、大変大きくなっていた。その下の闇を....
田舎教師」より 著者:田山花袋
、裏の林の奥に、丸い墓石が数多く並んでいる。これは歴代の寺の住職の墓である。杉の古樹の陰に笹やら楢やらが茂って、土はつねにじめじめとしていた。晴れた日には、夕方....
蒲団」より 著者:田山花袋
あくる日は日曜日の雨、裏の森にざんざん降って、時雄の為めには一倍に侘しい。欅の古樹に降りかかる雨の脚、それが実に長く、限りない空から限りなく降っているとしか思....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
格子縞を、虚空に組み合せている。その間を潜って、霧の波が、さっと寄せると、百年の古樹は、胴から上を、蝕ばまれるように、姿を持って行かれる。樹の下は、皆石である。....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
侍町、小流があって板塀続きの、邸ごとに、むかし植えた紅梅が沢山あります。まだその古樹がちらほら残って、真盛りの、朧月夜の事でした。 今|貴僧がここへいらっしゃ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
見物衆の重石に置いて、呼吸を練り、気を鍛え、やがて、件の白蔵主。 那須野ヶ原の古樹の杭に腰を掛け、三国伝来の妖狐を放って、殺生石の毒を浴せ、当番のワキ猟師、大....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
てしまったが、その古い屋敷の土塀のなかには武蔵野以来の建物で、今日ならば差しづめ古樹保存の札でも立てられそうな大木が往来の上まで枝や葉を繁らせて、さなきだに暗く....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
てしまったが、その古い屋敷の土塀のなかには武蔵野以来の建物で、今日ならば差しづめ古樹保存の札でも立てられそうな大木が往来の上まで枝や葉を繁らせて、さなきだに暗く....
日和下駄」より 著者:永井荷風
老いた船頭とは現在並びに将来の東京に対して最も尊い骨董《こっとう》の一つである。古樹と寺院と城壁と同じくあくまで保存せしむべき都市の宝物《ほうもつ》である。都市....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
す。壁上に詩人ポープの賛を題せり。庭前にりんご数株あれども、後年の栽培にかかる。古樹はすでに朽ちたりとて、その形を写して扁額となす。一人の来訪者なく、寂寥たるあ....