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「古武士〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古武士の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
だ。歳は六十に近く、名前を風間丈六といい、娘のミドリと二人暮しで、そのどことなく古武士のおもかげをさえもった謹厳な人格は、人々の崇敬の的となっていた。そしてまた....
田原坂合戦」より 著者:菊池寛
撃する声が聞えた。吉松少佐はついに重傷を負って斃れた。 この応酬など戦国時代の古武士の風格が偲ばれる。日が暮れても薩軍の砲撃の少しも衰えない為、乃木はまた退却....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
た時に、敦賀|本勝寺の書院に耕雲斎らを見に行って胸がふさがったという永原甚七郎の古武士らしい正直さを信じたかった。 田沼侯に対する世間の非難の声も高い。水戸浪....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
に、ついに悲惨な結果を生むに至ったことを教えたのもこの戦争であった。西郷隆盛らは古武士の最後のもののように時代から沈んで行ったが、しかし武の道のゆるがせにすべき....
寛永武道鑑」より 著者:直木三十五
け、わしより、分別があるのかのう。あはははは」 又五郎が、半兵衛に 「叔父は、古武士気質と申そうか、一徹者で、何か荒木の計にかかるように思えてならん。郡山の藩....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
つもの山に行った。雪が降っている。今日は戸田が大きな毛の帽子をかぶったから西洋の古武士の面影がある。「ジャン将軍よ」と山の下から呼ぶと、雪の山の上に足をふんばっ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
巾の前懸を取って、襟へあてて、ふわふわと胸膝を包んだ。その瀟洒な風采は、あたかも古武士が鎧を取って投懸けたごとく、白拍子が舞衣を絡うたごとく、自家の特色を発揮し....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
然たるものであるが、テーブルに向いあってキチンと坐って、いさゝかも油断なく、厳然古武士のような正座である。私は遠慮なくくつろいで、お酒をのんだ。 「さて、先刻の....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ない。美人というほどでもないが、清楚で、みずみずしい肉感もある。懐剣を胸にひめた古武士の娘の格と色気がしのばれる。 こうして警戒に警戒を重ねたアゲクの会見でも....
だいこん」より 著者:久生十蘭
たのね」 とすっとぼけたことをいった。 ママ薯が宋美齢なら、娘薯は鎌倉時代の古武士というところで、顎が翼のように左右へ張りだし、黒々とした一文字眉の下に尻っ....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
下駄をはいて、庭づたいに、矢場のほうへ入って行った。 長六閣下が、上背のある、古武士のようなきりっとした背《そびら》を反《そ》らせて、しずかに、弓を引き絞って....
ハイカラ考」より 著者:木村荘八
だったという人である。「ハイカラ」とは一応対蹠的な、江戸藩の名士である。――その古武士然たる人が、スコッチの猟銃服いかめしく身をかためて、森の結婚宣誓式へ乗り込....
肌の匂い」より 著者:三好十郎
などと言うことが、まるで考えられなかつたようです。そのへんも、實にアッケ無いほど古武士的で、つまり古風きわまるのです。 戰爭については、終始一貫して非戰論者で....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
して、本位田家のことについて、直接いろいろ聞くことが出来た。祥男氏の厳父は一見、古武士の血をそのまま風貌に持っているような旧家の老翁であった。小説の上のことでは....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ことを思い出して泣くのである。だから兀峰の句はやや附き過ぎた嫌いもあるが、無骨な古武士の、殊に物いうことが下手になって、戴いたかわらけの酒も飲み得ないで、悲喜感....