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「古疵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古疵の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俘囚」より 著者:海野十三
腹へかけて、長く続いた細いメスの跡がある、それが変な風に灼《や》けている。一見|古疵《ふるきず》のようだが、古疵ではない」 「まア、――どうしたんでしょうネ」 ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
お粂はそれを言って見せたぎり、堅く緋ぢりめんの半襟をかき合わせ、あだかも一昨年の古疵の痕をおおうかのようにして、店座敷から西の廊下へ通う薄暗い板敷きの方へ行って....
十二支考」より 著者:南方熊楠
百韻俳諧』に「火燵《こたつ》にもえてして猫の恋心」ちゅう句に「雪の日ほどにほこる古疵《ふるきず》」。彦山権現《ひこさんごんげん》の戯曲に京極内匠が吉岡の第二女に....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
ら、透して九日の夜の月影に見れば、一人は田中の中間喧嘩の龜藏、見紛う方なき面部の古疵、一人は元召使いの相助なれば、源次郎は二度|恟り、 源「これ、相助ではないか....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
情に、太く動かされた色が見えたが、面を正しゅう向直った。 「何とも――感謝する。古疵の悩を覚えさせまい、とそうやって知らん顔をしてくれるのは真に嬉しい、難有いが....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
す。で、私どもに向って身上噺をせいと仰ッしゃるのは、言わば辛うじて治りかけた心の古疵を再び抉り出すような、随分惨たらしい仕打なのでございます。幽明の交通を試みら....
水鬼」より 著者:岡本綺堂
遠いところへ立去ってしまうなどは、まったく怪しからぬことに相違ない。市野にそんな古疵のあることを僕は今までちっとも知らなかったが、彼の所業に対してこの女が憤慨す....
次郎物語」より 著者:下村湖人
た新しい小さな運命をあざけるとばかりは限らない。それは、ちょうど骨の髄をいためた古疵と同じように、ちょっとした寒さにもうずき出すことがあるものなのである。 町....
」より 著者:夢野久作
じの裾を染め、オモチャの笛をあわれみ詰まらせ、神木の肌を神さびさせ、仁王様の腕の古疵を疼き痛ませ、御神鏡の光を朧にした上に、伏しおがむ人々の睫毛までも白々としば....
食道楽」より 著者:村井弦斎
きな※《やまめ》と渓間《たにま》の鯉は蛇を食べますから鮭や鱒を食べると三年過ぎた古疵《ふるきず》が再発すると申す位で腫物や疵には大毒です。何でも蛇を食べる動物の....
「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
角世に忘れられんとしつつある記憶を新たならしむるものにして、例えば癒合しつつある古疵を掻き起すものなるべしとの注意を賜わるものこれ有り候う。これ確かに一面の理あ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
私は小田切さんを知っているだけに、彼の心中を思って涙ぐましい気持になった。過去の古疵から何を探り出そうとするのだろうか、夫人の冷めたい態度に思わず軽い反感をいだ....