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「古都〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古都の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
る葉巻の煙なんです。その男はそのときどんなことを思ったかというと、これはいかにも古都ウィーンだ、そしていま自分は長い旅の末にやっとその古い都へやって来たのだ――....
食魔」より 著者:岡本かの子
四郎は、諸方の風雅の莚の手伝いに頼まれ出した。市民一般に趣味人をもって任ずるこの古都には、いわゆる琴棋書画の会が多かった。はじめ拓本職人の老人が出入りの骨董商に....
黒髪」より 著者:近松秋江
あった。 そして一と月近く大和の方の小旅行をして再び京都に戻って来た時にはもう古都の自然もすっかり初夏になっていた。悩ましい日の色は、思い疲れた私の眼や肉体を....
狂乱」より 著者:近松秋江
をしていた。 その間に月が変って十月になり、長い間降りつづいた秋霖が霽れると、古都の風物は日に日に色を増して美しく寂びてゆくのが冴かに眼に見えた。それとともに....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
で動かない、いずれも苔がべッたり覆せてある、太古ながらの石の一片は、苔に包まれた古都の断礎でも見るように、続々と繋がって、爪先を仰ぐばかりに中天に高く斜線を引い....
外来語所感」より 著者:九鬼周造
う紅毛の国のダミ言葉を使うのかと憤慨させるのも誠に道理がある。外来語は山紫水明の古都までも無遠慮に侵入している。平安朝このかた一千年の伝統をだらりの帯に染め出し....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
たのに、京都の隠岐は東京の隠岐ではなく、客人をもてなすために最も細心な注意を払う古都のぼんぼんに変っていた。僕は祇園の舞妓と猪だとウッカリ答えてしまったのだが―....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
るところをみると彼女が配給したのに相違ない。せつ子が手をふってサヨナラと叫ぶと、古都の子供たちは、サヨナラ、バイバイと言った。 「浩然の気を養うという大人の風格....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
登る古城の上 古城は疇昔にあらず 今人おのずから来往す 年老い、ひとり古都の地に結廬して往昔をしのび物思いにふけり憂さを酒にまぎらすにしても、往昔泰西....
佳日」より 著者:太宰治
も、その五年のあいだに、彼と私とは、しばしば音信を交していた。彼の音信に依れば、古都北京は、まさしく彼の性格にぴったり合った様子で、すぐさま北京の或る大会社に勤....
山の春」より 著者:高村光太郎
鈴をならして数杯のうまいキャンチをたのしみ味わった。この山の中にもいつかは、あの古都に感じるような文化のなつかしさが生れるだろうか。この山はまず何をおいても二十....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
イヌは笑って云ったものである。 麗かな春の午後である。 第二回 沙漠の古都 六 (以下は支那青年張教仁の備忘録の抜萃である) 夕暮れ....
京の夏景色」より 著者:上村松園
京都の街も古都というのはもう名ばかりで私の幼な頃と今とではまるで他処の国のように変ってしま....
西航日録」より 著者:井上円了
二日、午後一時イスマイリアに着し、当夜十時ポートサイドに着す。これよりエジプトの古都カイロに入り、ピラミッドを見る予想なりしも、汽船滞泊の時間なきをもって果たさ....
日本橋附近」より 著者:田山花袋
在にさし入って来て、至るところにその静けさとさびしさとを展げているのだった。私は古都でもさまよっている詩人のようにして静かに歩いた。 かん茂の半ぺん、弁松のあ....