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只中
「只中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
只中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生きている腸」より 著者:海野十三
五つほど残っていた。 彼は、学校に出かけることは殆どなく、たいがい例の喧騒の真
只中にある風変りな自宅でしめやかに暮していた。 いまだかつて彼の家をのぞいた者....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
いました」 「やあ、帆村君」警部は、青年探偵帆村荘六の和やかな眼をみた。事件の真
只中に入ってきたとは思われぬ温容だった。彼は帆村を使うことを許した覚えはなかった....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
リス外相は二十六日、リーズ大学で次の如く演説した。 「世界は疑いなく非常に危険の
只中にあり。原子爆弾の警告があるにもかかわらず、すべての国民はいがみ合っている。....
「春昼」より 著者:泉鏡花
将と、この傍なる菜の花の中の赤楝蛇と、向うの馬の面とへ線を引くと、細長い三角形の
只中へ、封じ籠められた形になる。 奇怪なる地妖でないか。 しかし、若悪獣囲繞....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
たのだ。うちの社できみを雇って、出張してもらおうというんだがね、行先は宇宙のまっ
只中だ。聞いたろう、さっきの臨時ニュース放送を……」 ぶっきら棒に、さっそく用....
「火星探険」より 著者:海野十三
のかわり全体がぎらぎらと眩《まぶ》しく銀色に光を増した。今や自分たちが大宇宙の真
只中に在ることが、誰にもはっきり感ぜられた。 エンジンなおらず そのとき....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
兇賊籠ると知れて、まだ邏卒といった時分、捕方が多人数、隠家を取巻いた時、表門の真
只中へ、その親仁だと言います、六尺一つの丸裸体、脚絆を堅く、草鞋を引〆め、背中へ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
る秋の夕暮を想い出すそうである。――なにしろ、ここは、人跡まれなる濠洲の砂漠の真
只中である。詰襟の服なんか、とても苦しくて、着ていられなかった。 この砂漠に、....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
洋航海中随一の見物だぞ」 明日は見られるという飛行島! それは広い広い海の真
只中に作られた飛行場だった。もちろんその飛行場は、水面に浮かんでいるのだった。沢....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
と下へ巻き下っては、トンと上って、むらむらとまた舞いさがる。 一筋の道は、湖の
只中を霞の渡るように思われた。 汽車に乗って、がたがた来て、一泊|幾干の浦島に....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
とは夢にも考えておりません。 しかし貴下は、唯今うけたまわりましたような可怖い
只中に、よく御辛抱なさいます、実に大胆でおいでなさる。」 「私くらい臆病なものは....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
らゆらとその潮が動くと、水面に近く、颯と黄薔薇のあおりを打った。その大さ、大洋の
只中に計り知れぬが、巨大なる※の浮いたので、近々と嘲けるような黄色な目、二丈にも....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
われたとして、しかも家の骨に地蔵尊を祭る奇特がある。功徳、恭養、善行、美事、その
只中を狙うのが、悪魔の役です。どっちにしろ可恐しい、早くそこを通抜けよう。さ、あ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
る廊下であった。いうまでもないが、このビルジングを、礎から貫いた階子の、さながら
只中に当っていた。 浅草寺観世音の仁王門、芝の三門など、あの真中を正面に切って....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は堪えぬから、その布で包んだまま、ただ結目を解いただけで、密と取って、骨を広葉の
只中へ。 葉先を汀へ、蘆摺れに水へ離せば、ざわざわと音がして、ずるりと辷る、柄....