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右往左往
「右往左往〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
右往左往の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、月に白《しら》んだ小路《こうじ》をふさいで、黒雲に足のはえたような犬の群れが、
右往左往に入り乱れて、餌食《えじき》を争っているさまが見えた。最後に――それはほ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
今になって考えましても、蔀《しとみ》に迷っている、護摩《ごま》の煙《けぶり》と、
右往左往に泣き惑っている女房たちの袴の紅《あけ》とが、あの茫然とした験者《げんざ....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
道へ襲来《しゅうらい》した。家を焼かれた八道の民は親は子を失い、夫は妻を奪われ、
右往左往《うおうさおう》に逃げ惑《まど》った。京城《けいじょう》はすでに陥った。....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
「人間が来たぞ」と叫びながら、亭々《ていてい》と聳《そび》えた椰子《やし》の間を
右往左往《うおうざおう》に逃げ惑《まど》った。
「進め! 進め! 鬼という鬼は見....
「竜」より 著者:芥川竜之介
た桜の花がまっ暗な空へ飛ぶのばかり見えたと申す事でございます――度を失った見物が
右往左往に逃げ惑って、池にも劣らない人波を稲妻の下で打たせた事は、今更別にくだく....
「少年」より 著者:芥川竜之介
世界を玩具にした。蟹《かに》や寄生貝《やどかり》は眩《まば》ゆい干潟《ひがた》を
右往左往《うおうざおう》に歩いている。浪は今彼の前へ一ふさの海草を運んで来た。あ....
「或る女」より 著者:有島武郎
立っては、落ち付いた心でいる事ができないようだった。跡始末のために忙《せわ》しく
右往左往する船員の邪魔になりながら、何がなしの興奮にじっとしてはいられないような....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
牛を引いて門を出た。腹部まで水に浸されて引出された乳牛は、どうされると思うのか、
右往左往と狂い廻る。もとより溝も道路も判らぬのである。たちまち一頭は溝に落ちてま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎く舞いながら
右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれになって、海とすれすれに波の上を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
外界から奪い得るものの凡てを奪い取ろうとする。愛は手近い所からその事業を始めて、
右往左往に戦利品を運び帰る。個性が強烈であればある程、愛の活動もまた目ざましい。....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
い体を汗みじくに急いだ。電車道まで来てもまだ電車もない。往来の人はいずれも足早に
右往左往している。 人が自分を見たらば何と見るか、まだ戸を明けずにいる人もある....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
はは、石投魚も、ぬさりと立った。」 わっと、けたたましく絶叫して、石段の麓を、
右往左往に、人数は五六十、飛んだろう。 赤沼の三郎は、手をついた――もうこうま....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、課長の前を散った。篝火が点ぜられ、現場附近は、更に明かるくなった。捜査のため、
右往左往する人々の顔が、その篝火をうけて、鬼のように、赤く見えた。
このとき佐....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
ばピストルよりも白刃がものをいう。五勇士はいずれもそのむかしの戦場のつわものだ。
右往左往する寝ぼけ眼の敵の中におどりこんで、あたるを幸いと切って切って切りまくる....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
った人間を引張りださないと、焼け死んでしまうぜ」 誰も彼もが、土色の顔をして、
右往左往していた。悲鳴と叫喚とが、ひっきりなしに聞えてきた。大きな荷物を担いで走....