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叺
「叺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
叺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
蕗の五、六茎を括りつけていないのはない、猟士の山帰りの苞《つと》にも、岩魚を漁る
叺《かます》の中にも蕗が入れてある、同じく饗膳に上ったことは、言うまでもない。
....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ましたので、何気なく手にとりあげて、とみつこうみつ打ち調べているとき、ころり、と
叺《かます》の中から下におちたものは、丁半バクチに用いる象牙細工の小さな賽《さい....
「荷」より 著者:金史良
棒の両端に
叺を吊して、ぶらんぶらん担ぎ廻る例の「皆喰爺」が、寮の裏で見える度に、私は尹書房....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
に、ギリ/\唸っていた。生の軸木を掌にとってしらべていた小山は、唾を吐くように、
叺にポイと投げて汚れた廊下をかえってきた。 「君、于の奴をどう思うね?」 幹太....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
「御免下され、」 とここで、鐸を倒に腰にさして、袂から、ぐったりした、油臭い、
叺の煙草入を出して、真鍮の煙管を、ト隔てなく口ごと持って来て、蛇の幻のあらわれた....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
争の時に物見をした松だと申す事でございます。やがて多助は其の松の根方へ馬を繋ぎ、
叺を卸して秣を宛がってどっさり喰わせ、虫の食わないように糸経を懸けまして、二分と....
「おせん」より 著者:邦枝完二
被っていた桐油を、見世の隅へかなぐり棄てて、ふところから取出した鉈豆煙管へ、
叺の粉煙草を器用に詰めた松五|郎は、にゅッと煙草盆へ手を伸ばしながら、ニヤリと笑....
「想い出」より 著者:佐藤垢石
、何とも答えてくれなかった。 しばらくすると、釣れ方が遠くなった。老人は腰から
叺を抜き出して、一服つけた。私はこの機会を逸してはと考えた。 『私に友釣りを教え....
「米」より 著者:犬田卯
らない一段と高い方の田など全くどうにもならなかった。そこへは毎年きまって化成を三
叺ほど叩きこんだ。ところでその肥料だが――化成のみならず魚糟配合のようなものでも....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
おや、こいつアいけねえ。ゆうべのお疲れでまだ夢の最中でげすね」 ふところから、
叺と鉈豆煙管を取出した亀吉は、もう一度にやりと笑うと、おつねの出してくれた煙草盆....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
松葉の散った墨染の法衣に見える。 時に、吸ったのが悪いように、煙を手で払って、
叺の煙草入を懐中へ蔵うと、静に身を起して立ったのは――更めて松の幹にも凭懸って、....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
て見む。 といふ歌から、近くは明治三十五年に出版せられた若越方言集に、クヾツとは
叺なり。物を入るる物なりとあるまで、多くの書物にそれが一種の袋であることを証拠立....
「えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
e 汚いヤチボーズのよう というのだが,金田一先生はこの最後の一行を,「破れた
叺の皮のよう」と訳しておられる(『ユーカラ集※ (31) アイヌではカワウソは恐....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
立ちはだかっていた。そうしてそのぐるりには、石油箱だのビール箱だの、石炭を入れる
叺だの、鶏を入れるような、大きな、平ッたい竹籠だの、およそ野蛮な、ざッかけない、....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の気配がしてハッと顔を上げる、シットリした重い霧の垂幕の中から、鉱石入りの小さな
叺を背負って腕組みをしながら登って来る人夫の姿が朧ろげに現れる、もう鼻と鼻とが擦....