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「吃る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吃るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
初の目的から段々に堕落した。心の要求が言葉を創った。然し今は物がそれを占有する。吃る事なしには私達は自分の心を語る事が出来ない。恋人の耳にささやかれる言葉はいつ....
自叙伝」より 著者:大杉栄
を一そう大きくして怒鳴りつけるのだ。そしてその叱りかたも実に無茶だった。 「また吃る。」 生来の吃りの僕をつかまえて、吃るたびにこう言って叱りつけるのだ。せっ....
雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
えていた。 「お厭でしょうか、あなたは」 許宣はもう黙っていられなかった。彼は吃るように言いだした。 「そんなことはありませんが、私は、家もない、何もない、姐....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
一言二言云おうとして口を開いた。が、あせる唇の上で言葉になるはずの音が切れ切れに吃るばかりで、ようよう順序立てて云おうとしたことは忽ち、めちゃめちゃに乱れてしま....
猿面冠者」より 著者:太宰治
すべて暗記しているのだそうである。洋画家は、れいの眉をふるわせつつ、それはいいと吃るようにして言った。それだけでたくさんなのに、要らないことをせかせか、つぎから....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
り、人と遇って話をしたりする時には、吃って口が利けない。人は可笑しがる、私は益々吃る。それが御雇にもなれぬ身だというひがみ心と共に一層募って、父や一家の人々にも....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
えていた。 「お厭でしょうか、あなたは」 許宣はもう黙っていられなかった。彼は吃るように云いだした。 「そんなことはありませんが、私は、家も無い、何も無い、姐....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
て、牡牛のような、がっしりと肥えた多血質の身体をしていた。おまけに、台詞以外には吃る癖もあり、かつは永らくの阿片吸飲者でもあって、皮膚にはどこか薄気味悪い――ま....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
覆っているヴェールをパッと取り除いた。 『オヤッ!これは意外!』全く驚いた。彼は吃る様に云った。この女こそ、かつてドーブレクの邸で、深夜代議士に向って利刄を振り....
耳香水」より 著者:大倉燁子
、この先どんな恥を掻されるか知れやしない』 女の権幕に怖れたのでしょうか、男は吃るような口調で声まで少し震えを帯びて聞えました。 『だって――、僕の時計が遅れ....