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合せ鏡
「合せ鏡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
合せ鏡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「皮膚と心」より 著者:太宰治
、頸《くび》のまわり、胸から、腹から、背中のほうにまで、まわっている様子なので、
合せ鏡して背中を写してみると、白い背中のスロオプに赤い霰《あられ》をちらしたよう....
「行人」より 著者:夏目漱石
場の隣の小さい座敷をちょいと覗《のぞ》くと、嫂は今|髷《まげ》ができたところで、
合せ鏡をして鬢《びん》だの髱《たぼ》だのを撫《な》でていた。
「もう済んだんです....
「足迹」より 著者:徳田秋声
うに起ち上ったが、さしあたって何をするという考えも思い浮ばなかった。お庄は急いで
合せ鏡をしながら、紙で頚などを拭いて、また叔父のところへ駈けつけた。 その家で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ども、お君はわざわざそんなことをしないでも、これで充分に満足しました。燈火の下で
合せ鏡までしてその髪の出来具合をながめたり、また立ってその打掛の裾を引いてみたり....
「現実の道」より 著者:宮本百合子
それ相当な社会的評価を求めようとしなかった傾向はふるい社会の通念を計らずも裏から
合せ鏡で照り返しているようなものだといえます。 それにもかかわらず、昨今はいく....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
に泣き喚《わめ》きはないから無事だが、母屋《おもや》の内儀の方はそうはゆかない。
合せ鏡に気に入らない個所でも後の方に見出すと、すぐ破《こわ》して結い直しである。....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
くらせてくれたりした。 おしょさんが髱《たぼ》をかきつけている巧《うま》さ――
合せ鏡で、毛筋棒《けすじ》のさきで丸髷の根元を撫《なで》ている時|鬘《かつら》の....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
もそういえば、私は二十五日よりあとにもう一つぐらい手紙さしあげているでしょう、「
合せ鏡」という題のことかいた覚えがあるのですが。あしたうかがいましょう。何だか夢....
「答案落第」より 著者:太宰治
た、結果はむりに人に語らずともよい。語る必要はない。しかし、いちどは、はっきり、
合せ鏡して見とどけて置く必要は、ある。いちど見た人は、その人は、思案深くなるだろ....
「無毛談」より 著者:坂口安吾
ったから、ハゲもなんでもなくなってしまった。 はじめてハゲを見つけられた時は、
合せ鏡などをして、自分のハゲをしらべてみたことも一度はあったが、まったく醜悪なも....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
とうない」
小太郎は、鋭くいった。四人は、そのまま、白けて黙っていた。深雪は、
合せ鏡を出して、暗い灯の横で、髪を撫でつけた。庄吉は、俯向いていたが
「師匠、一....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
に一と骨だった。七十三の姑にもまだ洒落気があるのか、恰好よく結いあがったときなど
合せ鏡をして喜んだ。 「西尾さん遅いことなあ。また酒コで足コとられたかな」 残....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
うと、氷河地形などは、我が富士山とは似ない方面だが、その他に於て、多くの似顔は、
合せ鏡をしている姉妹でもあるかの如くに感じられる、そう思うとき、我々日本人に取っ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
たり教えたりしているものではない。しかし、現代の恋愛観の相映鏡にはなるであろう。
合せ鏡に焦点をとらえる角度は、たれにでも自由である。 かれの姿を、現代と昔との....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
この眼で見たい。鏡をよこせ」 と、登子にも鏡を持たせ、自分も鏡を持って、患部を
合せ鏡に映して、その惨烈とも無残ともいいようのない自己の糜爛した肉体の一部をしげ....