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合壁
「合壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
合壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卑怯者」より 著者:有島武郎
知らず知らず力がこもって、唾《つば》をのみこむとぐっと喉が鳴った。その時には近所
合壁から大人《おとな》までが飛び出して来て、あきれた顔をして配達車とその憐《あわ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
一人で合点《のみこ》み、 「ええ、織さん、いや、どうも、あの江戸絵ですがな、近所
合壁《きんじょがっぺき》、親類中の評判で、平吉が許《とこ》へ行ったら、大黒柱より....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
輩もこれは洗湯の逆上がまださめないためだろうと思ったくらいだ。元来この主人は近所
合壁《きんじょがっぺき》有名な変人で現にある人はたしかに神経病だとまで断言したく....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
えぬいている憤怒がかっと込み上げて抑えることが出来ない。私は、わざと夜遅く近処|
合壁に聞えるように、潜戸をどんどん打ち叩いて、 「今晩は今晩は今晩は今晩は」とや....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ら、 「これは爺さんに、すこし遠慮してもらわなくッちゃならねえようだ。人間は近所
合壁《きんじょがっぺき》、いっしょに住む。なア、いかに好きな道でも、度をはずして....
「苦しく美しき夏」より 著者:原民喜
の残映にふりむけたくなるのだ……。 今、あたりは奇妙に物静かだった。いつも近所
合壁の寄合う場所になっている表の方の露次もひっそりとして人気《ひとけ》がなかった....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
身の兄弟なんてものに、どこかこころが引ッかかっていると見える――おれは、弁公を、
合壁《がっぺき》に頼んで置いて、のこのこ江戸まで引ッ返したのさ。秋ももう大分深い....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
これにはさすがの女房も驚かないではいられない。大きな声で呼び立てたので、近所
合壁の者が皆出て来る。出て来ては、皆度胆を抜かれる。 まるで、茹《ゆだ》ったか....
「新年雑俎」より 著者:寺田寅彦
数年前までは正月元旦か二日に、近い親類だけは年賀に廻ることにしていた。そうして出たついでに近所|
合壁の家だけは玄関まで侵入して名刺受けにこっそり名刺を入れておいてから一遍奥の方....
「青春論」より 著者:坂口安吾
静を守るのだそうだ。 その後、僕が小田原の松林の中に住むようになったら、近所|
合壁みんな肺病患者で、悲しい哉、彼等の大部分の人達は他の一切を放擲して治病を以て....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
ている。 「アッハハハハ」と先ず笑い、 「式服拝借致しやした。おかげをもって近所
合壁年始廻りが出来やした。いや何式服というものは、友達一人持って居れば、それで萬....
「越後獅子」より 著者:羽志主水
声がした。 火事だアッと怒鳴るか、怒鳴らぬに、蜂の巣を突ついた様な騒ぎで、近所
合壁は一瞬時に、修羅の巷《ちまた》と化して了《しま》った。 悲鳴、叱呼《しっこ....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
呼吸、その間の時間の経過、いちいちツボにはまっていて申し分なかったが、何より近所
合壁どこへ行ってもらくだの死を喜ぶ人ばかり多いこと、いかにもらくだという男の常日....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
リの隣組は設置されたが、隣が青森県人で向こうが佐賀県人、まん中に茨城県人がという
合壁の寄合長屋ではまだまだこの東京というところの辛うじて喘ぎのこっている伝統都市....
「寒中滞岳記」より 著者:野中至
いか》にあるべきかといささか心痛せしが、ここぞ勇を奮うべき時ぞと奮発し、幸い近所
合壁はなし、ただ一人故障をいう者もなければ、それより昼夜の嫌《きら》いなく、鼻歌....