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名妓
「名妓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
名妓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
かたが無いのである。酔いどれて、マントも脱がずにぶったおれて、 「やい、むかしの
名妓というものは、」女は傍で笑っていた。「どんな奴《やつ》にでも、なんでもなく身....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の箱に納めて、本堂の仏前に置かれてあった。碁盤も共に据えてあった。但しその碁盤が
名妓の遺物であるか無いか、又それが深川の柘榴伊勢屋から出たものであるか無いか、そ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
と一緒に、本郷の講釈場の路次に逼塞し、辛うじて芸で口を凌いでいた、かつての新橋の
名妓ぽん太についてみっちり仕込まれたものだったが、商売に出すつもりはなく、芸者屋....
「傾城買虎之巻」より 著者:直木三十五
映る月影の 水は濁れど影の汚れぬ としたら――私は松葉屋瀬川を、近世
名妓伝の第一に持って行ってもいいと思う。 この作は、浅草|再法庵《さいほうあん....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
も無く金銀をまき散らし、やがてもの言わぬ花にも厭きて、島原に繰り込み、京で評判の
名妓をきら星の如く大勢ならべて眺め、好色の手下の一人は、うむと呻いて口に泡を噴き....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
見ると、皆均一の顔である。そしてその顔は、昔一番有名であってかつ面白味のなかった
名妓何々の顔をそのまま拝借してあるようだ。 それでは日本人は皆芸妓何々に似た女....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
き倒れつつある多くの先輩を見るに及んで情けなく思う。最近、ある新聞の三面で、ある
名妓のなれのはてが行き倒れていたと云う記事を読んだが、その時も私はよそ事とは思え....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
が流行し出して今のバットやチェリーの先駆者となった。そのうちのどれだっかた東京の
名妓の写真が一枚ずつ紙函に入れてあって、ぽん太とかおつまとかいう名前が田舎の中学....
「録音集」より 著者:豊島与志雄
れがまた、音楽や美術の方面に於て、真の天才婦人に美人少く、くだっては、芸に秀でた
名妓に美人少き所以でもあろうか。 * 或る若い女の告白に曰く――人....
「ピンカンウーリの阿媽」より 著者:豊島与志雄
、すんなりした両手の指、微妙な曲線をゆるがせる腰……そのすぐれた容色は、如何なる
名妓を持って来ても足許にも及ばない。 私はしばしば、彼女のところへ酒を飲みに行....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
、それが折にふれて意識のうえに浮きあがって来るのであった。ぽん太はそのころ天下の
名妓として名が高く、それから鹿島屋清兵衛さんに引かされるということで切りに噂に上....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
こういう句になると、ひえひえとある腕の感覚も、鬢の毛にふれた一朶の桜をうち仰ぐ
名妓照葉の面わも、描出も、すっかり近代的なものである。 花の戸にぬぎも揃わぬ草履....
「地上」より 著者:島田清次郎
。平一郎をして中学三年生で恋愛の悩みを知るようにならしめた力は、冬子をして廓でも
名妓の一人として立たしめていた。娘の時代に仕込み入れた人間としての教養と、天稟の....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
著者なかま、私の友だち、境辻三によって話された、この年ごろの女というのは、祇園の
名妓だそうである。
名妓? いかなるものぞ、と問われると、浅学不通、その上に、....
「私の洋画経歴」より 著者:小野佐世男
である両親につれられ、当時映画劇場としては立派な赤坂溜池の葵館へと出かけ、赤坂の
名妓なぞと二階の特等席でアイス・クリーム(ラムネではありませんぞ)を喰べながら徳....