名残惜しい[語句情報] » 名残惜しい

「名残惜しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

名残惜しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旧主人」より 著者:島崎藤村
あかりまど》から寂しい台所へさしこんで、手慣れた勝手道具を照していたのです。私は名残惜しいような気になって、思乱れながら眺めました。二つ竈《べっつい》は黒々と光....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ば肺病らしかった。それでも私と逢った事を喜んで種々の俳談を交した。なんだか心細く名残惜しいような顔をしていたが、際限もないから私はそこを辞して出た。その後一年ば....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
きもので、単に、「帰る」とか「行く」とかいうのと違って、自分の意志が活いている。名残惜しいけれども帰してやるという意志があり、そこに強い感動がこもるのである。「....
「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
斐のない涙とは知りながら涙が流れてとまらない。義王は出たけれ共、それでもあんまり名残惜しい、せめてもと又かえって住みなれた障子にこう書きつけた。 萌へ出づるも枯....
ベルリン大学」より 著者:寺田寅彦
もありまた馬鹿になったようにも思われた。引上げてゲッチンゲンへ移るときはさすがに名残惜しい気がするのであった。 マルシャル橋や王宮橋から毎日のように眺め見下ろ....
氷河」より 著者:黒島伝治
。 今は、不潔で臭い病室や、時々夜半にひゞいて来るどっかの銃声や、叫喚が面白く名残惜しいものに思われてきた。それらのものを、間もなくうしろに残して内地へ帰って....
アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
,亡びゆく弱きものと共に消失せてしまうのでしょうか.おおそれはあまりにいたましい名残惜しい事で御座います. アイヌに生れアイヌ語の中に生いたった私は,雨の宵,....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
いないように見える事である。もし自分が関係を断つような事があっても女の方では別に名残惜しいとも何とも思わないように見える事である。君江は自分との関係が断《た》え....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
行って、位牌を預け、かたみ髪を仏塔へ納めなどして置きたいという。 「それもまた、名残惜しいことではあるが――」 強いて止めもならぬ気がして、さらばと別れを告げ....
雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
う、おめえのような親切者に、死出の世話をして貰うこたあ出来めえと思うと、何だか、名残惜しい」 「なあに、あっちの牢番号も分ってるし、手をかける者も、知れてるから....
春の雁」より 著者:吉川英治
でいいのか」 「ちょうど、深川の水に六年住んで、今夜が見納めかと思うと、何だか、名残惜しいけれど……」 「見納めだなんて、縁起でもない事を云わぬがいい。また、い....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
を、わし始め見たので、誰も、疑わなかった。 「いよいよ、お別れか。ああ……」 「名残惜しいなあ」 「羨ましいなあ。だが、おめえのためには、欣ばなければならないが....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
去って、樹間を立ち騰る薄煙のあたりに、仄かに輝きそめた夕月が見えたりする。人々は名残惜しい焚火と別れて散り散りに退散する。細雨をくだした秋天がいつの間にか晴れ渡....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
に贅沢な野営であった。 三日。今日も快晴である。出懸けに一風呂浴びて、午前七時名残惜しい野営地を後にした。岩壁の上を河に沿うて仙人谷に出たいと思ったが、それに....