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名誉職
「名誉職〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
名誉職の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
のむしろに坐った思いで居るということや、また、私の長兄は、私あるがために、くにの
名誉職を辞したとか、辞そうとしたとか、とにかく、二十数人の肉親すべて、私があたり....
「ロマネスク」より 著者:太宰治
れに逸平は三島の火消しの頭《かしら》をつとめていたので、ゆくゆくは次郎兵衛にこの
名誉職をゆずってやろうというたくらみもあり、次郎兵衛がこれからもますます馬のよう....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
で、町方のものも在の百姓もみんな自分の子のように思ってる。半蔵だって、本陣問屋を
名誉職としか思っていまい。おれの家の歴史を考えて見てくれると、それがわかる。こう....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かった。理想にしたがえば、この改革は当然である。この改革にしたがえば、父祖伝来の
名誉職のように考えて来た旧い家業を捨てなければならない。彼の胸も騒ぎつづけた。 ....
「蒲団」より 著者:田山花袋
娘を伴れて突然帰ると、どうも際立って面白くありません。私も妻も種々村の慈善事業や
名誉職などを遣っておりますけえ、今度のことなどがぱっとしますと、非常に困る場合も....
「嘘」より 著者:太宰治
になり、鬱々として楽しまず、ひょっこり訪ねて来た小学時代の同級生でいまはこの町の
名誉職の人に向って、そのような八つ当りの愚論を吐いた。
名誉職は笑って、 「いや、....
「惜別」より 著者:太宰治
いるのか、鈍感な私にも、少しずつわかって来た。津田氏はやはり矢島にクラス会幹事の
名誉職を奪われたのがくやしいのだ。それでこの失意憂鬱の小政治家は、このたびの矢島....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
色魔というものがあったとしたら、それは決して色魔ではない。 私の知っているある
名誉職という老人にして女中専門という悪食家があったが、食べる方はいいとして食べら....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
無いのは遺憾きわまりが無いが、如何とも致し難い、官禄の一銭も身に受けていないし、
名誉職の一端を荷うほどの器量も無い、ただ一町歩の畑と一町五畝の山林の所有者で、百....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
しを連れて、撃剣の会へいったり、釣堀にいったり、政談演説会へいったりした。種々な
名誉職をもって来られても、迷惑だと断わるのがつねだった。よんどころなく弁護士会長....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
いそうだ。常に八九割が建築家で、一二割が都市の文化に関心を持つ市長とか町長という
名誉職の人々であり、学生などの割りこむ余地はない筈だ、と言うのである。 僕は建....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
として群集は自動車の周囲へ寄って来た。政庁の露台には州知事をはじめサンダカン市の
名誉職達が花束を持ちながら並んでいる。道路には警官が立ち並んで大声で群集を制して....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
を愛する我々には分りすぎるほど通じるものだ。 この人ぐらい秋田犬保存会長という
名誉職にふさわしい人はないように思う。秋田犬に対して純粋で損得ぬきの打ちこみ方や....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
も気忙しくて……」 彼はそんなことを言っているのだった。彼は何十年となく何かの
名誉職に就くことを望んでいたのだったが、今度の消防組の組織のとき多額の寄附金によ....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
が、きょう法律の宣告に依って、社会の安寧のために処刑になるのを、見分しに行く市の
名誉職十二人の随一たる己様だぞ。こう思うと、またある特殊の物、ある暗黒なる大威力....