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「名調子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

名調子の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西湖の屍人」より 著者:海野十三
れッ、逃がすな!」 と叫んだ帆村の声は、いつの間にか普段の、あの胸のすくような名調子に変っていた。 「よオし、掴えてやる!」 と私は呶鳴った。 (これは冗談....
新ハムレット」より 著者:太宰治
。 王。「やあ、今夜はお招きを有難う。ホレーショーが、ウイッタンバーグ仕込みの名調子を聞かせてくれるというので、皆を連れて拝聴にまいりました。ほんの近親の者た....
名娼満月」より 著者:夢野久作
を歌おうほどに……」 「おお。それそれ。貴方様の小唄いうたら祇園、島原でも評判の名調子。私の三味線には過ぎましょうぞい」 「これこれ。煽立てやんな。落ちぶれたな....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
国より来る、かかる事どもも有るなれば、このたびの人魚、何か疑うべき事に非ず。」と名調子でもって一気にまくし立てると、百右衛門、蒼い顔をさらに蒼くして、にやりと笑....
明日の言葉」より 著者:宮本百合子
とってはすぐ何のことか会得しかねる種類の修辞であろうと思われる。 尾崎士郎氏は名調子の感傷とともにではあるが、それとは異った他の人間的情況のスナップをつたえよ....
夜の靴」より 著者:横光利一
ろへ来ましたが、君のその話は面白いから、是非書けとすすめてくれました。」と医者は名調子で聴衆に対い、自分の原稿を立って読み上げる。およそ一時間、でっぷり太った栄....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ことによって読者を尤もに思わせ、納得させ、その気にならせる力を有っていることだ。名調子なのである。だがこの名調子にいつとはなくやきが回ると、もはや我慢のならぬマ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とりの海に いかりおろし いかなる人か 物思《ものも》はざらむ―― 朗々たる名調子で、一種独得の朗詠が湖上の上に漂いました。 八 湖面が....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ありませんですね。そうじゃのう、お世話さん、どうもおあいにくさま。(ここの調子は名調子よ。)店には今肥料は一つもありません。豆タンの袋、セメンの袋、石粉。煙突左....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
すぎない。しかし、そのセリフの文体に至っては、韻文詩劇として、古今稀にみる奇想と名調子とに満ち満ちている。甘美にすぎて、悪趣味に陥らず、滑稽をねらって軽きに失し....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
るたびに、舞台に身体を叩きつける音がばたりばたりと響く。そのあいだで団十郎が例の名調子で朗々と勧進帳をよみ上げる声がきこえる。この幕が下りると、わたしは自分の肌....