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「吐月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吐月の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
は前から清逸の心を強く牽《ひ》いていたものだった。 父は煙草をのんではしきりに吐月峰《とげっぽう》をたたいた。母も黙ったまま針を取り上げている。 店の方に物....
ロマネスク」より 著者:太宰治
いた。父親の逸平もまた、これで一段落、と呟《つぶや》いてはぽんと煙管《きせる》を吐月峯《とげっぽう》にはたいていた。けれども逸平の澄んだ頭脳でもってしてさえ思い....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
に叢々たる竹藪が多くなってやがて、二つの小峯が目近く聳《そび》え出した。天柱山に吐月峰《とげっぽう》というのだと主人が説明した。私の父は潔癖家で、毎朝、自分の使....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
る。あすこには灰吹《はいふ》きがないそうだ。僕の友人があすこへ奉職をしている頃|吐月峰《とげつほう》の印《いん》のある灰吹きを買いに出たところが、吐月峰どころか....
丹下左膳」より 著者:林不忘
平気の平左で、帯のあいだから小意気な煙管を取り出し、一服つけては、ポンとはたく吐月峰《はいふき》の音。 「不敵なやつだ」 儀作はにらみつけて、 「殿のおめし....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
が。 たとえ鼻の先へ百本千本の十手が飛んでこようとも、どっかり胡坐《あぐら》で吐月峯《はいふき》を叩いていようという親分。高札なんどせせら笑って、かえって面白....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
がら、うなだれている禰宜様宮田の胡麻塩の頭を眺めて、彼女は途方もない音を出して、吐月峯《はいふき》をたたいた。 三 海老屋の年寄りは、翌朝もいつもの通り広い果....
丹下左膳」より 著者:林不忘
に、思わず明るい微笑がみなぎると、かれは吸いかけた火玉をプッ――と吹いて、ついで吐月峰《はいふき》のふちをとんとたたいた。 三十番神の御神燈に、磨《みが》き抜....
南国太平記」より 著者:直木三十五
、高く、低く、波打って呼吸をしかけた。 「池上」 池上は、黙っていた。新納は、吐月峯《はいふき》を叩いて 「よかろう」 と、いった刹那、池上が 「うっ」 ....
一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
さあ」 といいながら、器用に、ポンと音をさせて煙管《キセル》の吸殻《すいがら》を吐月峰《はいふき》へはたいた。 「けれどお鯉さんもたいていじゃなかったのですよ。....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
入ったわさ。惚《ほ》れさせてもらおうよ」 閑山は出もしない、咳《せき》をして、吐月峰《はいふき》を手にした。 「いまお前さんを捜しに来た男は何だ」 「まあ可愛....
世界の裏」より 著者:国枝史郎
十六堂会の――従って青※の大親分は、数年前からチョイチョイ日本の新聞へも名の出る吐月笙であることと、吐月笙は蒋介石の一党であったが、最近汪兆銘派に帰順したらしい....
早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
その突出されをされるわきゃあない、とこうあっしは思いましたから――。」 ぽんと吐月峯《はいふき》を叩いた三次、 「だが伊助どん、待ちねえよ。ただの難癖言掛《な....