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向
「向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
り下りたりしている猿。猿は燕尾服《えんびふく》の尾を垂れた上、シルク・ハットを仰
向《あおむ》けにかぶっている。この綱や猿の後ろは深い暗のあるばかり。
....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
様たちの御行方を嗅ぎ出せ。」と云いました。
すると白犬は、折から吹いて来た風に
向って、しきりに鼻をひこつかせていましたが、たちまち身ぶるいを一つするが早いか、....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
う》に、田岡甚太夫《たおかじんだゆう》と云う侍《さむらい》がいた。これは以前|日
向《ひゅうが》の伊藤家の浪人であったが、当時細川家の番頭《ばんがしら》に陞《のぼ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
恨に思って、暮方《くれがた》その職人の外へ出る所を待伏せて、いきなり鉤《かぎ》を
向うの肩へ打ちこんだと云うじゃありませんか。それも「主人の讐《かたき》、思い知れ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
てするのですからね。けれどもわたしの恋愛小説には少しもそう云う悪影響を普及する傾
向はありません。おまけに結末は女主人公の幸福を讃美《さんび》しているのです。
....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
は知られた腕《うで》っ扱《こ》きである。殊に露柴《ろさい》は年かさでもあり、新傾
向の俳人としては、夙《つと》に名を馳《は》せた男だった。
我々は皆酔っていた。....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
っと又台所で居睡りか何かしていたんだろう?」 恵蓮はいくら叱られても、じっと俯
向いたまま黙っていました。 「よくお聞きよ。今夜は久しぶりにアグニの神へ、御伺い....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
記憶に照して見ても、そうでなかった事は一度もない。唯、この弟たるべき自分が、時々
向うの好意にもたれかゝって、あるまじき勝手な熱を吹く事もあるが、それさえ自分に云....
「狂女」より 著者:秋田滋
から出てもらえないかね」 すると彼女はその焦点のない、うつろな眼を将校のほうに
向けた。が、うんとも答えなかった。 将校はなおも語をついで云った。 「無体もた....
「墓」より 著者:秋田滋
声のように、わたくしの前に現れたのでした。人間がその一生を通じて希望というものに
向けて放っている、あの漠とした不断の叫び、その声に「おう」と応える声のように、彼....
「初雪」より 著者:秋田滋
* * * この散歩路のほうに
向って入口のついた、小粋な構えの小さな家が一軒あったが、折しもその家から若い女が....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
踊り喜び、義弟をつれて曲馬見物に行き、入口の所でこみ合って喧嘩椅子にかかりて、西
向きの室から外を眺めつつ日を暮らし、終に眠るがごとくにこの世を去り、静かに墓地に....
「寡婦」より 著者:秋田滋
じたりしているようでした。 月のあかるい晩などには、夕食がすむと、彼はよく私に
向ってこう云いました。 「従姉さん、夢をみに行きましょうよ――」 私たちは庭へ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
騎士」という名で知られている。 ふしぎなことに、さきほど述べた夢想におちいる傾
向は、この谷間に生れつき住んでいる人だけでなく、しばらくそこに住む人も知らず知ら....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
で、この子供を育てたらよかべい。」 と言いました。 太郎右衛門は、その時伊作に
向って、 「己ら、子供が不憫だわで、つれて行くども、金が欲しくて子供をつれて行く....