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向い側
「向い側〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向い側の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
った。 大阪行きの省線はすぐ来た。高槻で座席があいたので、ぐったりとして坐り、
向い側の座席にちょこんと坐っているカラ子を見た途端、 「おやっ!」 北山ははじ....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
外の人通りを眺《なが》めていると、そこの明るさが嘘《うそ》のようだった。ちょうど
向い側が共同便所でその臭気がたまらなかった。その隣りは竹林寺《ちくりんじ》で、門....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
徒と視線が合った。豹一はわざとその傍をゆっくり通って、元の席へ戻った。 赤井は
向い側に坐っている二人連れの上品な顔をした男と前から知り合いのような顔で、盞のや....
「世相」より 著者:織田作之助
布なら五百円でも売れる、百円で売る奴があるかというのを背中で聴きながら、ホテルの
向い側へ引き返し、大阪一点張りに張ってみたが、半時間もたたぬうちに百円が飛んでし....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
た。 「お前さんは、割合に尤もらしい顔をしているのネ、写真で見るよりは……」と、
向い側に座った女は、莨の煙を吹き吹き、正面から僕のことを冷やかした。 「写真? ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
の方はお邸の塀下に落ちて居り、弾丸は、ここに地図がありますが、線路を越してお邸の
向い側にあたる草叢から拾い出したのです。お心あたりはございませんか」 そう云っ....
「蠅」より 著者:海野十三
を見た。 大勢の人がワイワイ云いながら、しきりに上の方を指している。どうやら、
向い側のビルディングの上らしい。 とたんに飛行機が墜落するときのような物凄い音....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
家ね」 と言って、天井の板の柾目を仰いだり、裏小路に向く欄干に手をかけて、直ぐ
向い側の小学校の夏季休暇で生徒のいない窓を眺めたりした。 わたくしの家はまだこ....
「わが町」より 著者:織田作之助
連れて行った。 そして竹林寺の門前で鉄冷鉱泉をのみ、焼餅を立ちぐいしていると、
向い側の剃刀屋から、 「し、し、し、〆さんとち、ち、ちがうか」 と、言いながら....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
のラジウムの盗難事件が起ったあの研究所だ。たしかあの若僧は、そのラジウム保管室の
向い側の何とか研究室の助手で、彼は事件当時、怪《あや》しい女性がその保管室からあ....
「一坪館」より 著者:海野十三
ふーン、もう目につかなくなっちゃった。これじゃしようがない」 源一は、一坪館の
向い側に立って、こっちを見ながら、大きなためいきをついた。 建てたときは、あた....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
がどうかしているんだろう」 伯爵は、一旦発見したものを打消しながら、その名画の
向い側においてある肘掛椅子のところまで歩いていって、くるっと廻れ右をして椅子に腰....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
ために費したようなものだ。 僕の私室は十六号であった。 魚戸の部屋は、その斜
向い側の十七号であった。その隣室の十八号が、宣伝長イレネ女史の寝室だった。 魚....
「郷愁」より 著者:織田作之助
と一つ裸電燈を残したほか、すっかり灯を消してしまっている。いつもは点っている筈の
向い側のホームの灯りも、なぜか消えていた。 駅には新吉のほかに誰もいなかった。....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
はいって行った。 空いた椅子へ腰を掛けて、ボーイの来るのを待っていると、信吉の
向い側へ部屋の鍵と財布を持った若い娘が一寸頭を下げて坐った。 そこへボーイが来....