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「向い合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

向い合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
した。犬の気色《けしき》に驚いた野村と俊助とは、黄水仙《きずいせん》の鉢を隔てて向い合いながら、一度にその方へ振り返った。するとちょうどそこにはあの土耳其帽《ト....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
に微笑を送っているような、朗然《ろうぜん》とした眼である。本間さんは黙って相手と向い合いながら、この眼と向うの言動との間にある、不思議な矛盾を感ぜずにはいられな....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
ていた。客の一人は河岸の若い衆、もう一人はどこかの職工らしかった。我々は二人ずつ向い合いに、同じ卓に割りこませて貰《もら》った。それから平貝《たいらがい》のフラ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
をしたのがあって、旅商人と見える中年の男が、ずッぷり床を背負って当たっていると、向い合いに、一人の、中年増の女中がちょいと浮腰で、膝をついて、手さきだけ炬燵に入....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
一重の女の背へ、自分が脱いだ絣の綿入羽織を着せて、その肩に手を置きながら、俊吉は向い合いもせず、置炬燵の同じ隅に凭れていた。 内へ帰ると、一つ躓きながら、框へ....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
、ボートは、三フィートの水の中へ、ごく静かに艫の方から沈んで行って、船長と私とは向い合いながら突っ立った。他の三人は真逆さまに落ちて、ずぶ濡れになりぶくぶくと泡....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ら、この頃連夜の稽古で夜更しをしている姉が、だらしない寝衣姿で降りて来て、新子と向い合いに、 「あ――あ。」と、欠伸しながら、ドサリと坐った。 「昨夜は、私より....
独房」より 著者:小林多喜二
かじかんでいるので、うまく鍵穴に鍵が入らずガチャガチャとそのまわりをつッついた。向い合いながら、俺はその前こゞみになっている看守の肩を見ていた。 その日の出廷....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
裏の間ともとは台所であったらしい部屋とのあいだには大きな柱が立っていて、大黒柱と向い合いになっている。その柱をこの辺で、うし柱といっている。電燈はそのうし柱のす....
火の扉」より 著者:岸田国士
のした応接間へ通されて、市ノ瀬牧人は、薄地の白いブラウスを無造作に着た井出夫人と向い合い、自分がいまこゝにいることが夢ではないかと思つた。それほど、夫人そのもの....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
という変な声が聞えるんです。今度は些と近くなって。 それから段々あの橿原の家を向い合いに、飛び飛びに、千鳥にかけて一軒一軒、何処でもおなじことを同一ところまで....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
は夫から寝台へ寝て、僕をも寝台へ寝かせて、外見には羨ましいであろう程仲宜さそうに向い合い、さて、蘭亭さんは、大変技巧的に、上手に、阿片を調じて僕へ進め、はじめて....
人狼」より 著者:岡本綺堂
二 第二幕の一つ家。外には月の光。 (モウロと正吉はテーブルに蝋燭を立て、向い合いて聖書を読んでいる。呼子の笛きこゆ。) 正吉 (顔をあげる。)あ、笛の声....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
と草がくれに、紅い。……華奢な女の掌にも入りそうな鶏が二羽、……その白い饅頭が、向い合いもせず、前向に揃うともなしに、横に二個、ひったりと翼を並べたように置いて....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
、ひょいと首を擡げたが、見知らぬ客の顔を見ると、驚いて逃げて去った。 改って、向い合いに腰を下すと、本庄はまた急に不安になった。何を云い出されるのかと思って、....