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「向い合う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

向い合うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
特有な嬌羞《はにかみ》というものをあたりさわりなく軟らげ崩して、安気な心持で彼と向い合うようにさせる術《すべ》をまったく知らなかったから。そして一般に日本の処女....
無名作家の日記」より 著者:菊池寛
を依頼するつもりであったのだ。 中田博士は、都合よく在宅した。 俺は、博士と向い合うとすぐ、 「いかがです、いつかお願いしました脚本は、読んで下さいましたで....
こころ」より 著者:夏目漱石
なたにもお嬢さんにも済まない事になりました」と詫《あや》まりました。私は奥さんと向い合うまで、そんな言葉を口にする気はまるでなかったのです。しかし奥さんの顔を見....
草枕」より 著者:夏目漱石
んが橋懸《はしがか》りを五六歩来て、そろりと後向《うしろむき》になって、婆さんと向い合う。その向い合うた姿勢が今でも眼につく。余の席からは婆さんの顔がほとんど真....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しろには眼にみえないお安の影が付きまとっているのではないかと思うと、彼女はお雪と向い合うのがなんだか薄気味悪かった。稽古が済むと、お雪はこんなことを云い出した。....
光と風と夢」より 著者:中島敦
ない無神論。自分の思想は斯んな幼稚なものである筈はないのに、と思うのだが、父親と向い合うと、何時も結局は、こんな事になって了う。父親の論法が優れていて此方が負け....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ならぬと思うのであった。炉の正前にすわっている阿賀妻に、彼らはそれぞれの位置から向い合うようなぐあいに座を定めていた。さきの御小姓組である安倍誠之助は、ことさら....
十二支考」より 著者:南方熊楠
から来るは同じ長さほどの臥長《ふしたけ》一抱えばかりな蛇が舌|嘗《なめ》ずりして向い合うた、蛇、蜈蚣が登るべきほどを置いて頸を差し上げて立てるを見て蜈蚣喜んで走....
天馬」より 著者:金史良
張っておれば、話題は尽き頭も疲れていた折なので、突然玄竜が現われ美しい女流詩人と向い合うようになったことは、確かに興味深いことに相違なかった。京城の文化社会で誰....
古狢」より 著者:泉鏡花
落を日暮方出て此地へ来る夜汽車の中で、目の光る、陰気な若い人が真向に居てね。私と向い合うと、立掛けてあった鉄砲――あれは何とかいう猟銃さ――それを縦に取って、真....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の方で、屋根の上へいっぱいに櫓《やぐら》を組みはじめました、ちょうど大尽の高楼と向い合うように、大工を入れて櫓を高く組み上げさせました。 大尽の方では、その櫓....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ャンバラバラ用の剣法とまったくちがって、だいいちに、すくなくとも三間以上はなれて向い合う。そして、三、四間はなれたところから、ジリジリと間をはかって、一撃に決す....
魔都」より 著者:久生十蘭
いう御用でありましたか」 薄月の光をつらつらに照りかえす電車の軌道を差し挾んで向い合う二人の大親分。いずれも寛濶なる貫祿を身につけ、抜き差しならぬ一問一答をし....
不在地主」より 著者:小林多喜二
」 警官が長靴をドカッドカッとさせて、演壇に駆け上った。素早く武藤は演壇を楯に向い合うと、組合員が総立ちになっている中へ飛びこんでしまった。人の渦がそこでもみ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
。 大体の上において、俗諦の知識は発達して来ましたようなものの、その知識を以て向い合う現象なるものが、前に述べましたような因果関係から成り立っている以上、その....