向い合せ[語句情報] »
向い合せ
「向い合せ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向い合せの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
で見える。しかしあんまり美人じゃないな。」
僕は何か得意らしい譚ともう一度顔を
向い合せた。
「あの女がどうかしたのかい?」
譚はふだんのおしゃべりにも似ず、....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
んです。二人とも上手《じょうず》に握手をなさい。」と先生はにこにこしながら僕達を
向い合せました。僕はでもあんまり勝手過ぎるようでもじもじしていますと、ジムはいそ....
「星座」より 著者:有島武郎
った顔をしっかりと押えた。互に寄せ合った肘《ひじ》がその人の肩をこの上なく優しい
向い合せの曲線にした。
園はおぬいさんのいうままに星野の手紙を読まねばならなか....
「チャンス」より 著者:太宰治
もののはずみ」も甚《はなは》だ白々しい結果に終るものなのである。よく列車などで、
向い合せに坐った女性と「ひょんな事」から恋愛関係におちいったなど、ばからしい話を....
「人間失格」より 著者:太宰治
た。 自分の田舎の家では、十人くらいの家族全部、めいめいのお膳《ぜん》を二列に
向い合せに並べて、末っ子の自分は、もちろん一ばん下の座でしたが、その食事の部屋は....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
たが、筆は持っていたか、そこまでは気がつかないが、現に、そこに、あなたとちょうど
向い合せの処、」 正面の襖は暗くなった、破れた引手に、襖紙の裂けたのが、ばさり....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
、それが厚い石の壁に造られた風窓から物凄い海の上に一条の輝かしい光線を射出した。
向い合せに坐っていた荒削りの食卓越しに、ごつごつした手を握り合せながら、彼等は火....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
びかれた。縁先の土の上にムシロがしかれていた。それがオレの席であった。 オレと
向い合せにエナコが控えていた。後手にいましめられて、じかに土の上に坐っていた。 ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
と上等の葡萄酒とでまもなく力を恢復していた。その間カートンは同じ卓子に向って彼と
向い合せに腰掛けていて、前に自分の別なポルト葡萄酒の罎を置き、例の半ば横柄な態度....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
にしても、山岳崇拝が持ち前の宗教だったヒダ人が御岳サンと高貴な人の墳墓をはるかに
向い合せに造るのは全くフシギがない。 この寺の縁起の上で開山になっているのがス....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
である。すでに寝ている私を叩き起して、自分の椅子の位置をかえる。彼ら四人は椅子を
向い合せにして語らっていたので、自分の椅子を平行に直してねむるために、寝ている他....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
渡って、左右から濁水《だくすい》を挟《さしはさ》んで互にその傾いた廂《ひさし》を
向い合せている。春秋《はるあき》時候の変り目に降りつづく大雨の度《たび》ごとに、....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
ちがよごさないように、靴ふきマット。――秋の夕暮。静寂。 テレーギンとマリーナ、
向い合せに腰かけ、靴下の毛糸を巻いている。 テレーギン 早くおしよ、ばあやさん。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ルの両側にはベンチ風の薄汚れた木の腰掛が一脚、二脚、クリロフの一家はここで、互に
向い合せて、さて、スープの鍋底を大きな杓子でひっ掻きまわし、パンをもぎり、赤酒を....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
てきた。 小さい駅を通過した時、車体の動揺にふと目が覚めた。するといつの間にか
向い合せの座席に、モーニングを着た長髪の紳士が腰かけている。居眠りしていたのを見....