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向い風
「向い風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向い風の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「時間」より 著者:横光利一
に立ったものが竹林を出て歩き出した。 しかし、傘は十二人に三本よりないところへ
向い風で雨が前からびゅうびゅうと吹きつけて来るので、四人に一つの割りで傘を中にし....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に何度かひどい砂塵を浴びた。往きには追い風であったから、まだよかったが、戻りには
向い風になったからたまらない。土手の柳の間に古着古足袋古股引の類を並べる露店から....
「朝の風」より 著者:宮本百合子
子供たちと病人とが動いているのであった。 空っ風がひどくその町を吹きまくった。
向い風にさからって歩く女たちは云い合わせたように前かがみになって、ショールで口元....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
ど、若い二人は、大勢かたまった人群の真中で、全く自分たちきりのこころもちでいる。
向い風がひどく、青年は自分の上衣をぬいで女の肩にかけてやった。娘は片手で、喉の前....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
ってんか。途中でインチキの小判と気が付いて引返やいて来よったら叶わん。和蘭陀船は
向い風でも構いよらんけに……呼子まで百両出す。百両……なあ。紀国屋文左衛門や。道....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
した雲が、水平線をすっかり蔽っているのに気がついたのです。 そのうちにいままで
向い風であった風がぱったり落ちて、まったく凪いでしまい、船はあちこちと漂いました....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
印度洋は、大抵毎日、七十度台だから、寒さを感じる程であった。然し暑い紅海も、
向い風であるので、九十度位だから、しのぎよい。 あさって頃からは、ズッと涼しく....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
男女二足の靴だけを大きく出した写真――靴屋の広告――「OH!」と題したのは、女が
向い風に裾を押さえて困却してるところ。豚とダンスしてる坊さん。錨をあしらった老船....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
すのでござりましょう。船頭は山三郎が大急ぎと申すので腕一杯に漕ぎますが、何分風が
向い風で船足は埓明きません。山三郎はじり/\して居りますが、何うも仕方がない、朝....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かんしゃくも納っています(この風に吹き当てられるのは他ならぬペンさんで昨今は時々
向い風に吹き当てられるような目付きを致します。ところがアッコオバちゃんはえらいス....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
っかと携えていた。山上の墓地に達する路は曲りくねってはいるが、遠くではない。ただ
向い風が身体にあたるので骨のおれる気がした。見渡す限り、そして上の方へ登れば登る....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
オランダの平野に出る。そこで二人は、それから先の道を早馬で行くことに決めた。風が
向い風だったし、河の流れも舟にはゆるやかすぎたからだ。 この旅も、ここまでで、....
「中支遊記」より 著者:上村松園
来る。 「陸が見えますよ」 と、いう声は本当になつかしいものに聞こえた。激しい
向い風のなかに見え始めた故国日本の姿はまったく懐かしい限りであった。そのくせ帰り....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
でも来た方へさえ引返せば芳原へ入るだけの憂慮は無いと思って、とぼとぼ遣って来ると
向い風で。 右手に大溝があって、雪を被いで小家が並んで、そして三階|造の大建物....