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「向け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

向けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
かい。」 「まだあるの。」 太郎はこう言って、糸鬢奴《いとびんやっこ》の頭を仰向けながら自分もまた笑い出した。眼を細くして、白い歯を出して、小さな靨《えくぼ》....
」より 著者:芥川竜之介
の指環がなくなったら。」 陳は小銭《こぜに》を探りながら、女の指へ顋《あご》を向けた。そこにはすでに二年前から、延べの金《きん》の両端《りょうはし》を抱《だ》....
河童」より 著者:芥川竜之介
ません。しかしそれもほんとうのところは追いかけずにはいられないように雌の河童が仕向けるのです。僕はやはり気違いのように雌の河童を追いかけている雄の河童も見かけま....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
彼は口笛を吹きながら、早速《さっそく》洋服に着換え出した。僕は彼に背《せ》を向けたまま、漫然とブック・マンなどを覗《のぞ》いていた。すると彼は口笛の合い間《....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
から覚まされた。牧野はやはり彼女の隣に、静かな呼吸を続けていたが、こちらへ背中を向けた彼が、実際寝入っていたのかどうか、それはお蓮にはわからなかった。 ....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
。何小二が鞍の前輪へつっぷすが早いか、一声高く嘶《いなな》いて、鼻づらを急に空へ向けると、忽《たちま》ち敵味方のごったになった中をつきぬけて、満目の高粱畑《こう....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
店先の雨明《あまあか》りの中に、パナマ帽をかぶった賢造は、こちらへ後《うしろ》を向けたまま、もう入口に直した足駄《あしだ》へ、片足下している所だった。 「旦那《....
おしの」より 著者:芥川竜之介
けは口惜《くちお》しゅうございます。」 女は涙を呑みながら、くるりと神父に背を向けたと思うと、毒風《どくふう》を避ける人のようにさっさと堂外へ去ってしまった。....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
の勇気を圧倒した。 「あなた!」 彼女が三度目にこう言った時、夫はくるりと背を向けたと思うと、静かに玄関をおりて行った。常子は最後の勇気を振い、必死に夫へ追い....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
る水の中に幾分《いくぶん》か腰をかがめたなり、日に焼けた笑顔《わらいがお》をふり向けて見せた。 「君もはいれよ。」 「僕は厭《いや》だ。」 「へん、『嫣然《えん....
狂女」より 著者:秋田滋
から出てもらえないかね」 すると彼女はその焦点のない、うつろな眼を将校のほうに向けた。が、うんとも答えなかった。 将校はなおも語をついで云った。 「無体もた....
」より 著者:秋田滋
声のように、わたくしの前に現れたのでした。人間がその一生を通じて希望というものに向けて放っている、あの漠とした不断の叫び、その声に「おう」と応える声のように、彼....
初雪」より 著者:秋田滋
る人たちを眺めていたが、やがて微かな笑みを洩すと、いかにも大儀そうに、海のほうに向けて据えてある空いたベンチのところまで歩いて行った。ほんの二十歩ばかり歩いただ....
寡婦」より 著者:秋田滋
。それを煽り立てさえいたしました。一人前の男にたいするように、媚を見せたり、水を向けたり、愛撫をしたりしました。それにもかかわらず、私は不実だったのです。私はあ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
いソーセージを首飾りにしているように思われた。それから、すばらしい雄鶏さえも、仰向けになって、添え料理の皿に横たわり、蹴爪を高く上げて、あたかも生きているあいだ....