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向け直す
「向け直す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向け直すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
云ったのは、この婆の差金だろうと、見てとったから、我慢が出来ません。じりりと膝を
向け直すと、まだ酒臭い顋《あご》をしゃくって、「大凶結構。男が一度惚れたからにゃ....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
は息を凝らして眼を据《す》える。 曲がれる堤《どて》に沿うて、馬の首を少し左へ
向け直すと、今までは横にのみ見えた姿が、真正面に鏡にむかって進んでくる。太き槍を....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
た。やがてまた動く気になったので腰を上げて、立ちながら靴《くつ》の踵《かかと》を
向け直すと、丘の上りぎわの、薄く色づいた紅葉《もみじ》の間に、さっきの女の影が見....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
寄らば撃たんと眼を怒らして居る。トラが居ずまいを直すたびに、蛇は其頭をトラの方へ
向け直す。トラは相関せざるものゝ様に、キチンと前足を揃えて、何か他の事を案じ顔で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りで、 「おれは近いうちに宇津木兵馬を殺すぞよ」 「兵馬を殺す?」 お浜は膝を
向け直す。 「うむ、兵馬を斬るか、兵馬に斬られるか……」 「それは――」 「まさ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
はまるで生物のように八十助の存在を認めて、そのメラメラといきり立つ火頭を彼の方に
向け直すと、猛然と激しい熱風を正面から吹きつけた。 「うわーッ」 八十助は駭い....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
。……旦那さん。――旅行さきで無駄な銭を遣わねえがいいだ。そして……」 と顔を
向け直すと、ちょっと上まぶたで客を視て、 「旦那さん、いつ帰るかね。」 「いや、....
「審判」より 著者:カフカフランツ
、欲するなら自分の事件がどうなっているかを見ることができたし、また望むならば頭を
向け直すこともできたのだった。それに反して、今や弁護を自分でやることになれば、―....
「三国志」より 著者:吉川英治
よいよ烈火のようになって、 「おのれ」 と、さらに、戟を持ち直し、正しく馬首を
向け直すと、張飛も、 「さあ、おいで」 と、一丈八尺の矛を構えて、炬のごとき眼....
「三国志」より 著者:吉川英治
ったとみえるぞ」 鞍つぼ叩いて、費耀は馬上に躍り上がった。そして、一転、馬首を
向け直すや否、 「それっ、取ってかえせ。引っ返して、蜀勢を挟撃しろ」 と、大号....