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向こう
「向こう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向こうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
はお前さんにしては、気がきいたね。お前さんのにいさんの御面相じゃ、一つ間違うと、
向こうにけどられそうで、下見に行っても、もらえないが、お前さんなら、大丈夫だよ。....
「河童」より 著者:芥川竜之介
まざさ》の中を見まわしました。すると河童は逃げ腰をしたなり、二三メエトル隔たった
向こうに僕を振り返って見ているのです。それは不思議でもなんでもありません。しかし....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
れを、茶の小倉の袴《はかま》が、せっせと折目をつけては、行儀よく積み上げている。
向こうのすみでは、原君や小野君が机の上に塩せんべいの袋をひろげてせっせと数を勘定....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
れ分れに、行くことになった。松浦君、江口君、岡君が、こっちの受付をやってくれる。
向こうは、和辻さん、赤木君、久米という顔ぶれである。そのほか、朝日新聞社の人が、....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
答えるのだけがわかる。
「おい、みんなひなたへ出ようじゃないか。日かげにいると、
向こうからこっちが見えない」
久米《くめ》が、皆をふり返ってこう言った。そこで....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
その下を飛んでいるのは、おおかたこの海に多い鴎《かもめ》であろう。と思うとまた、
向こうに日を浴びている漁夫の翁《おきな》も、あいかわらず網をつくろうのに余念がな....
「或る女」より 著者:有島武郎
三
その木部の目は執念《しゅうね》くもつきまつわった。しかし葉子はそっちを見
向こうともしなかった。そして二等の切符でもかまわないからなぜ一等に乗らなかったの....
「或る女」より 著者:有島武郎
の満足からも、葉子はこの上なくうれしかった。しかし火鉢《ひばち》からはるか離れた
向こう側に、うやうやしく居ずまいを正《ただ》して、愛子がひそひそと泣きながら、規....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
うんだ堅い道に突っかけ突っかけ先を急いだ。
子供たちの群れからはすかいにあたる
向こう側の、格子戸《こうしど》立ての平家《ひらや》の軒さきに、牛乳の配達車が一台....
「星座」より 著者:有島武郎
、混雑を避けるように待合室の外壁に身をよせて立っていた。西山さんはその人たちを見
向こうともしなかった。ほかの書生さんたちもそういう見送人に対して遠慮するらしい気....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
かきのけても容易に火の燃え立って来ないような瞬間には私はみじめだった。私は、机の
向こうに開かれた窓から、冬が来て雪にうずもれて行く一面の畑を見渡しながら、滞りが....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
一八 相撲 相撲もまた土地がらだけに大勢近所に住まっていた。現に僕の家の裏の
向こうは年寄りの峯岸の家だったものである。僕の小学校にいた時代はちょうど常陸山や....
「親子」より 著者:有島武郎
カリヌプリという山の麓にかけて農場は拡がっているのだ。なだらかに高低のある畑地の
向こうにマッカリヌプリの規則正しい山の姿が寒々と一つ聳えて、その頂きに近い西の面....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
れ、そして地とこの壁との中間のくぼみに何人も越えることのできない大洋がある、壁の
向こう側には神々のために当てられた領域がある。壁の上にはこれを覆う穹窿すなわち天....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
て出かける用意をしました。奥さんはまだ一度もその村に行った事はありませんが、島の
向こう側で日の落ちる方にあるという事は知っていました。またそこに行く途中には柵で....