向こう岸[語句情報] »
向こう岸
「向こう岸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向こう岸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
南へ、大またに歩きだした。
それから、三条を西へ折れて、耳敏川《みみとがわ》の
向こう岸を、四条まで下ってゆく――ちょうど、その四条の大路《おおじ》へ出た時の事....
「或る女」より 著者:有島武郎
手を入れて葉子をかかえた。木部は冷然として竿を取った。三突きほどでたわいなく舟は
向こう岸に着いた。倉地がいちはやく岸に飛び上がって、手を延ばして葉子を助けようと....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
に酒を飲むにしても、どこか川っぷちのレストランみたいなところで、橋の上からだとか
向こう岸からだとか見ている人があって飲んでいるのならどんなに楽しいでしょう。『い....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
て、船頭たちにもそうすることを命じながら、ぴたり船底に平みついて、じっといま来た
向こう岸に耳を傾けだしました。 5 かくして、時を消すことおよそ小半....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
つもより水勢のました大川の流れをものともせずに、しゅっしゅっと抜き手をきりながら
向こう岸に泳ぎつこうとしたものでしたから、ひと足先に走りついて土手に上がるのを待....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
どこへ行って来た? 顔色をかえて、鉄砲など持って……」 同じ開墾場の佐平爺が、
向こう岸に微笑んでいた。 「熊が出てね。俺《おら》、皮がほしかったもんだから、追....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
たが、 「考えて見りゃこの湖水、どうも少し可笑しいよ。いつも朦気が立ちこめていて
向こう岸が見えないんだからな。それにどっちを眺めたって人っ子一人見えないのに、時....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
(かえでのそばに行き欄干にすがる)山の縁がぽーっと明るくなっていますね。 かえで
向こう岸の灯の美しいこと。 浅香 橋の上を人影がちらほらしていますね。 かえで ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
はかみさんがわざわざ通りに出て渡船場に行く路を教えてくれた。 十日ばかりの月が
向こう岸の森の上に出て、渡船場の船縁にキラキラと美しく砕けていた。肌に冷やかな風....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
出て見ることがあった。轟々たる瀬のたぎりは白蛇の尾を引いて川下の闇へ消えていた。
向こう岸には闇よりも濃い樹の闇、山の闇がもくもくと空へ押しのぼっていた。そのなか....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
《ひざ》をついて、勇敢にシャツを洗っていた。その舌も腕に劣らず活発だった。小川の
向こう岸でせんたくをしている他の村娘たちと、盛んに談笑していた。クリストフは数歩....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
一せきの遊船が堀割の中に止まっていた。その小舟を引っ張っている二ひきの馬は、
向こう岸に休んでいた。それはきみょうな小舟であった。わたしはまだこんなふうな船を....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
に待っていろと言った。かれは兄弟の所へ行って、わたしたちをその船に乗せて、安全に
向こう岸までわたれるか、様子を聞きに行ったのであった。 ボブはひじょうに遠くへ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
の土手が広々とした青田のなかをうねってつづいている。左は、ほぼ五六間ほどの川で、
向こう岸もやはり松並木の土手である。旧藩時代のさる名高い土木家が、北山の水を町に....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
とんどなく、ただ川の岸に渡し守の小屋が、一軒立っているばかりであり、そこを渡って
向こう岸へ行き、そこから西野郷へは行くのであった。 林蔵は渡し守の小屋まで来た....